NTNは2020年10月20日、自動車用トランスミッションやデファレンシャル向けの低昇温/低トルク円すいころ軸受を開発したと発表した。
同製品は、新型樹脂保持器に凹み形状を持たせたことで、潤滑油が不足した際にころ端面への給油が可能となったこと(下図?)、ころ端面と内輪大つば面との間の滑り接触部の潤滑性が向上する設計を採用したこと(下図?)により、温度上昇を抑制している。低昇温性は同社従来品と比較して10倍向上した。
さらに、新型樹脂保持器が潤滑油の軸受内部への過度な流入を抑制できること(上図?)、「自動車用ULTAGE(アルテージ)円すいころ軸受」(2017年発表)のころ設計や軸受内部設計の最適化による長寿命効果で軸受を小型化し、ころと軌道輪の転がり接触長さを減少させたこと(上図?・下図?)、軸受の小型化によりころのピッチ円径を縮め、ころと軌道輪との間の周速を低減し転がり抵抗を抑えたこと(上図?・下図?)により回転トルクを低減した。トルク性は同社従来品と比較して66%低減している。
同製品は上記の特性を小さな軸受サイズで実現しており、動力伝達装置の高効率化や車両の省燃費/省電費化に加えて、装置の小型/軽量化による車内スペースの拡大や運転時の快適性の向上に寄与する。
同社は今後、次世代モビリティに適用可能な仕様として、同製品およびその要素技術の提案を進める。