まるでSF、人間の皮膚にインスパイアされた「真にウェアラブル」な電子スキン――肌に貼って体温や心拍数などの計測が可能

Credits: Chuanqian Shi

人間の皮膚にインスパイアされた「真にウェアラブル」な電子デバイスが開発された。かさばるスマートウォッチとは異なり、伸縮性があって人間の肌に貼り付けることができ、完全にリサイクル可能な回路基板となっている。この研究はコロラド大学ボルダー校によるもので、その詳細は2020年11月6日付で『Science Advances』に掲載された。

研究チームは、2018年にも電子スキンの設計を発表しているが、今回発表された最新バージョンでは多くの点が改良された。まず、はるかに伸縮性が向上した。弾性を持たせるために、スクリーン印刷を用いて液体金属ワイヤーの回路網を作成。次に、これらの回路を、柔軟性が高く自己修復するポリイミン材料で作った2枚の薄膜の間に挟んだ。

出来上がったデバイスの厚さは、市販のばんそうこうより少し厚い程度で、熱して皮膚に貼ることができる。また、内部の電子機器を破壊することなく、どの方向にも最大60%伸ばすことができる。この伸縮性によって可能性が大いに広がり、体温、心拍数、動きのパターンなどを確実に測定できるようになった。

また、リコンフィギュラブル(再構成可能)であるため、体のどの部分にもフィットするように成形でき、例えば、腕時計のように手首に巻いたり、ネックレスのように首に掛けたりすることが可能だ。

本物の皮膚のように自己修復可能で、切り傷ができてもその部分をつまみ合わせると、数分以内にポリイミン材料を結合している共有結合が再形成し始める。13分以内に損傷部分はほとんど分からなくなる。

さらに、電子廃棄物の問題に配慮し、リサイクルしやすいように設計されている。このデバイスをリサイクル溶液に浸すと、ポリイミンは解重合し、あるいはその成分分子に分離して、電子部品は容器の底に沈む。その後、電子部品と伸縮性のある材料の両方を再利用できる。

以上の特性は、ヘルスケア、ロボット工学、義肢学など多くの分野での応用に可能性があるとしている。ただし、現状では外部電源に接続する必要があるといった課題が残っている。

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