東京エレクトロンデバイスは2021年6月2日、正常時の設備の時系列データから最適な異常検知モデルを自動生成する新たなAI技術を開発したと発表した。異常検知モデルを最適化する作業時間を大幅に短縮し、異常データの収集時間をゼロにするという。
今回開発したAI技術は、設備の正常データから想定される多様な異常データを生成して最適な異常検知モデルを自動生成するため、異常データの収集にかかる時間をゼロにする。
また、開発した技術を用いることにより、設備の異常データをデータ分析の専門家が長期間にわたり複数回取得し、繰り返し実施してきた異常検知モデルを最適化する作業時間を大幅に短縮する。実際に故障が発生するまで異常検知モデルの効果、精度を検証できないという課題も解決するという。
この技術には、独自の異常データ自動生成エンジンを採用。準備した正常な時系列データからデータの分布の偏りを考慮して、設備の周波数、トレンド、スパイク、位相などを想定した多様な異常データを自動生成し、正常データと生成した異常データを使い、判定モデルの精度が最も良くなる最適な特徴抽出方法、機械学習アルゴリズム、機械学習パラメータの組み合わせを自動探索して異常検知モデルを作成する。
異常データ自動生成エンジンは、分布の偏りに加え、振幅の自動調整や季節性変動なども考慮し、画一的なデータではなく自然かつ固有のデータを複数生成できる。
同社は今後、収集した設備の正常状態と異常状態のデータから最適な異常検知モデルや故障診断モデルを開発する作業を自動化する時系列データ自動分析マシン「CX―M」の新たな機能として今回開発した新技術の開発をすすめるとともに、実証検証していく。また、製造業向けソリューションへの展開を進める。