村田製作所は2021年11月5日、NXP Semiconductors(以下、NXP)のUltra Wide Band(UWB/超広帯域無線)対応ICを搭載した世界最小サイズのUWB通信モジュール「Type 2BP」(以下、2BP)と、NXPのUWB対応ICおよびBluetooth Low Energy(BLE)対応ICを搭載したアンテナ内蔵小型UWB通信モジュール「Type 2DK」(以下、2DK)を開発したと発表した。量産開始時期は、2BPが2022年1月、2DKは2022年7月以降を予定している。
2BPは、村田製作所がWi-FiやBluetoothモジュール製品の開発でつちかった高周波設計技術のほか、独自の高密度実装技術と樹脂封止技術をベースに開発した世界最小サイズのUWB通信モジュール。UWB市場で実績があるNXPのUWB対応IC「Trimension SR150」を搭載した。半導体スイッチやクロック、フィルタを搭載しており、IoT機器へUWB機能を組み込むことが可能になる。また、アンテナを3本搭載しており、他のUWB機器の位置を高精度で検出できるようになった。
2DKは、NXPのMicro Controller Unit(MCU)内蔵BLE対応IC「QN9090」のほか、タグ向けUWB対応IC「Trimension SR040」、オンボードアンテナを内蔵している。外部にコイン電池などの電源回路を追加するだけでタグとして使用できるので、製品開発の工程を減らし効率化できる。
UWB通信方式は非常に広い周波数帯域を使用し、従来の無線通信技術では難しかった数センチレベルの高精度な位置情報を検出できることから、スマートシティやスマートファクトリーなどでの活用が見込まれており、注目を集めている。また、位置検出に信号の送受信時間を利用することから、リレーアタックなど第三者からの悪意のある攻撃に対して非常に高いセキュリティを持つ。こうした特徴を生かし、高度なセキュリティレベルが要求される非接触決済システムや、家屋やホテルのスマートキーなどへの応用も期待されている。