トヨタのFCV(燃料電池車)「Mirai」が、下水汚泥から生成した水素を燃料にしていると伝え、話題になっている。これは福岡市が進める「水素リーダー都市プロジェクト」の一環として同市がMiraiを公用車として採用し、同市の「中部水処理センター」が製造した水素を供給していることを指しているようだ。
中部水処理センターでは、下水汚泥の処理過程で発生する「バイオ(メタン)ガス」から二酸化炭素と水素を製造し、水素は併設された「水素ステーション」でFCVに充填している。2016年3月31日に稼働開始し、11月からは公用車以外にも水素を供給している。
化石燃料に依存しない持続可能な社会を実現するためには、ガソリンや軽油を使わないEVやFCVのようないわゆるゼロエミッション車の普及が望まれるが、FCVについては水素を充填できる水素ステーションが少ないことが普及を阻害する大きな要因となっている。理由のひとつは水素の製造コストの高さだが、メタンガスを取り出すプロセスが確立している下水汚泥施設を利用することで製造コストを抑え、大都市を中心に水素ステーションを増やすことができれば、FCVの普及に弾みがつくことが期待される。
海外メディアは、「最先端の車が下水汚泥で走っている」として驚きをもって伝え、持続可能社会の実現に寄与する取り組みとして評価しているようだ。