- 2023-6-22
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カリフォルニア大学サンディエゴ校らの研究チームは、身体の深部組織を連続的に3Dイメージングできる、伸縮性のあるウェアラブルデバイスを開発した。超音波を利用して非侵襲的に組織の硬さを測定できるため、がんなどの疾患やスポーツ障害の治療に役立つ可能性がある。研究成果は、『Nature Biomedical Engineering』に2023年5月1日付で公開されている。
開発したデバイスは、超音波素子を16×16のアレイ状に配列したウェアラブルパッチだ。皮膚表面から4cmまでの深さの組織を0.5mmの分解能で3Dイメージングできる。デバイスを皮膚にフィットさせるため、超音波素子は柔らかいエラストマーマトリックスで包まれており、電極は波状に蛇行した伸縮性のあるものを用いている。
このウェアラブル技術は、医学研究などさまざまな用途に応用可能だ。例えば、病理組織の連続データは、がんのような細胞が硬くなる疾患の進行に関する重要な情報を提供するだろう。また、筋肉や腱、靭帯のモニタリングは、スポーツ障害の診断や治療に応用することも可能だ。腱鞘炎、テニス肘などの筋骨格系疾患において、組織の硬さの変化をモニタリングすることで、患者に合わせて治療計画を立てられるようになる。
がん以外の疾患にも、応用が可能だ。肝臓や心血管系の疾患に対する現在の治療は、組織の硬さに影響を与えることがある。そのため、これらの薬物や一部の化学療法薬の有効性や送達の評価に役立つ可能性があり、新しい治療法の開発につながるかもしれない。
研究チームは次のステップとして、さらなる改良を視野に入れている。論文の共著者であるペンシルベニア大学のDawe Song博士研究員は、「弾性率が既知のエラストマー層、つまりキャリブレーション層を装置に組み込むことで、組織の弾性率を定量的な絶対値として得ることができます。このアプローチにより、組織の力学的特性の情報を完全に得られるようになり、超音波診断装置の診断能力をさらに向上できるでしょう」と述べている。