レアメタル不要、導電性を約4倍に高めた有機透明導電材料――都市大がタッチパネル電極などで実用化へ

東京都市大学は2018年11月30日、独自開発した多孔質層を持つガラス(HNLガラス)に、導電性プラスチックPEDOTを結合させた有機透明導電材料を開発したと発表した。高価で生成過程が複雑な酸化インジウムすず(ITO)の代替材料になる可能性があるという。

現在、スマートフォンや液晶テレビなどのガラス基板には、画像を制御する電極として無機材料のITOが広く使われている。しかし、レアメタルのインジウムが必要になることから、将来的な材料の調達に懸念が残る。さらにITOの成膜には真空装置が必要なため、製造コストが高くなってしまってる。

そこでPEDOTをガラスなどに塗布して、タッチパネルなどの電極として利用する研究が進められている。有機材料は比較的安価な原料から簡単に化学合成できる。無機材料よりも屈曲性に優れていることから、衝撃に強く製品形状の自由度も高くできるという利点がある。しかも、PEDOTの成膜は常温で可能で、真空装置も不要だ。

しかし、PEDOTをガラスなどに塗布しても、接合強度が不十分ではがれやすいという問題がある。有機材料のPSSを助剤として混ぜて接合強度を高めていたが、PSSは絶縁性だ。同程度の光透過率を持つITOに比べて、電極の導電性が1~2ケタ低い値になってしまっていた。

HNLガラスは、超親水性で防曇(ぼうどん)性・防汚性に優れ、低反射という特性がある。同大学の研究チームは今回、PSSを使わずにHNLガラスとPEDOTを強固に結合させた有機透明導電材料を開発。PSSをなくしたことで、導電性を従来の約4倍に向上することに成功した。

研究チームは今後、成膜技術を改良していくことで、導電性をITO並みに高めていく考え。ITOに代替できる材料として実用化を目指す考えだ。

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