リストラへの備えが足りないハード系エンジニア。担当製品の競合優位性などにもっと関心を


本コラムは、エンジニア専門の人材紹介会社メイテックネクストのキャリアコンサルタント・河辺真典氏からの寄稿です。旬のキーワードを取り上げ、エンジニアのキャリア形成に役立つ情報を発信していきます。


リーマンショックからしばらくの期間、大手メーカーがリストラをするとの報道が紙面を賑わせていました。それが2015年終盤に再び、東芝が1万人超をリストラするというニュースが飛び込んできて、驚いた人も多いのではないでしょうか。

2016年に入ってからも、中国経済の減速や、欧州の金融不安などが要因となったのか、日経平均株価は低迷を続けています。

今後、国内の景気は悪化してリストラに踏み切る企業は増えてくるのでしょうか。今回から数回に分けて、「エンジニアはリストラに対してどのように備えるべきか」といったテーマで私見を述べていきます。

エンジニアは目の前の製品開発に全力投球でいいのでは

まずメーカーで働くエンジニアの皆さまの中に、「急にリストラされたら、自分なら転職先が見つかるだろうか」という意識を持って働いている方は、ほとんどいないと思います。営業職やIT業界で働くエンジニアなどと比べて、普段から転職を意識している人の割合は極めて低いはずです。

人材紹介会社のキャリアコンサルタントの中には、そんなところに問題意識を感じ、「メーカーで働くエンジニアも、数年に1度はキャリア相談をして、自分の市場価値を知り、キャリアの棚卸しをしましょう」と訴える人もいるようです。

けれど私自身、キャリアコンサルタントになる前はメーカーでエンジニアとして製品開発に携わっていまして、当時は「この製品、がんばって作ったら、きっと売れるだろうな」「どうすれば、もっと多くの人に喜んでもらえる製品になるかな」と考えることで毎日が精一杯。そんな状態で「キャリア相談をしましょう」と言われても、まったくそんな気にはならなかったと思います。

人によって意見は異なるかもしれませんが、私は目の前の業務に全力で取り組み、自分の市場価値や転職したときの可能性のことなんて見向きもしないエンジニアとしての在り方には賛成なのです。

キャリア相談はせずとも、担当製品の立ち位置/競合優位性などに興味を持って

とはいえ、キャリア相談する必要はなくても、日々の業務の中で考えておいてほしいことはあります。

例えば、自分が勤めている会社の状況、携わっている事業や製品の業界内での立ち位置、今後の成長可能性などです。

「自分の勤務している会社は業界内で競合と比べてどんな評価を受けているのか」「自分の部署で開発している製品は他社や他国の製品と比べて競合優位性があるのか」といったことに関心を持つようにしてください。

私自身の経験を話しますと、私がメーカーのエンジニアからキャリアコンサルタントに転職したのは、営業担当者との会話がきっかけでした。「お前の担当している製品は、中国製品と比べたときに優位性が少ない。だから今、かなり割り引かないと売れないんだ」と。ショックでしたね。それで転職を考えるようになったのですが、私が転職した2年後に、古巣のメーカーは大規模なリストラに踏み切ることになりました。

そのように、他社や他国の製品と比べたときの立ち位置や優位性を把握できていれば、リストラなどの予兆を察知できるようになります。また、製品開発の勘所、製造体制の構築方法など、自分の業務に生かせるところも多いはずです。

ですから、日ごろから人材紹介会社などに足を運んでキャリア相談する必要はありませんが、できるだけ自分の直属の上司や営業部の同僚などとコミュニケーションを取るように心掛けておくこと。アンテナを広げて収集した情報を、自身のキャリアに生かすだけでなく、ものづくりにも役立てていってください。

次回は、不幸にもリストラに遭ってしまったとき、どのような心構えを持つべきなのか、ご説明していきます。


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河辺 真典(メイテックネクスト 執行役員)

メイテックネクストでは、エンジニア専門特化の強みを生かし、豊富な業界知識・技術知識に基づいて「失敗しない転職」のお手伝いをいたします。
転職ありきではなく、中長期的な視野に立って、最も将来のご活躍に繋がる選択肢を考えるためのお手伝いをいたします。
ぜひ、一度ご相談にお越しください。

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