- 2016-2-25
- 制御・IT系, 化学・素材系, 技術・スキル市場分析, 機械系, 転職・キャリアアップ, 電気・電子系
- リストラ, リーマンショック
本コラムは、エンジニア専門の人材紹介会社メイテックネクストのキャリアコンサルタント・河辺真典氏からの寄稿です。旬のキーワードを取り上げ、エンジニアのキャリア形成に役立つ情報を発信していきます。
前回、メーカーで働くエンジニアがリストラに備えるには、「数年に1度は人材紹介会社などでキャリア相談をして、キャリアの棚卸しをする」よりも、「業界の動向、自社の状況、自分が携わっている事業や製品の業界内での立ち位置について、日々の業務の中で考えておくことが大事である」という私の考えを述べさせていただきました。
ですが、そうした意識を持っていようが持っていまいが、1度歯車が狂ってしまった企業というものは、個人1人の力だけでは立て直しようがありません。どんなに意識が高くとも、リストラに巻き込まれてしまう人は、どうしても出てきてしまいます。
今回は、もし勤務中の企業、しかも自分の所属する部署でリストラが実施されることになったとき、エンジニアはどのように振る舞うのが賢明なのか、解説していきたいと思います。
リストラ募集に手を挙げるべきか、しがみついてでも残るべきか
あなたの部署がリストラの対象となったとき、それでもしがみついて今の会社に残るのがいいのか、それともすっぱりと次の職場を外に求めた方がいいのか、どちらが正解だと思いますか?
間違いないのは、簡単に「どちらが正解」と言えるものではなく、どちらの道を選んでも「厳しい現実が待っている」ということです。
リストラ募集に手を挙げなかった場合は、今の会社には残れます。けれど、リストラが必要になるくらいですから、残っても給料は下げられるかもしれませんし、社内の他部署に異動になるとしても異動先で冷遇される恐れがあります。
一方、会社のために自分がリストラされる道を選び、外に出たらどうなるのでしょうか。不景気なとき、特定分野の産業が衰退するときにこそリストラが増えるわけです。リストラ対象になった技術分野のエンジニアは、そう簡単に転職先が見つからず、苦労するケースがほとんど。自分から手を挙げて外の世界に出ていく選択をしても、茨の道が待っていることでしょう。
リーマンショックの直後の一斉リストラ、転職に苦労しなかったエンジニアの共通点
どちらの道も決して「正解」ではなく、楽な道のりが待っているわけではありませんが、どちらかを選択しなくてはいけません。私の意見としては、選択せざるを得ない状況なら外に出る道を選ぶべき、しかも一刻も早く転職活動を開始するべきだと考えています。
大手メーカーがリストラすると、「何千人がリストラに」といったニュースが流れます。けれど実際のところ、「何千人」の大半が工場の製造現場で働く方々。業種や仕事内容にこだわらなければ、比較的以前の職場と同程度の待遇の転職先が見つけられる可能性は高いと思います。
問題になってくるのは、自分の専門性を生かし、メーカーの中で高水準の報酬を受け取っている開発・設計などの業務に携わるエンジニアの方々です。大手メーカーなどでリストラが行われると、1度に同じような経験・スキルを持ったエンジニアが「何千人」ではないにしろ「数十~数百人」は転職することになるわけです。自分の専門性を生かせ、これまでと同程度の給与を受け取れる職場に転職できるのは、その中の一握りに過ぎないでしょう。
なぜなら、転職市場に出回っている求人数には限りがあります。求人企業としては、自分たちが必要としているエンジニアの人数を採用できる見通しが立ったら採用を打ち切ってしまいますから、早い者勝ちの椅子取りゲームが始まることになるわけです。
リーマンショックの直後も、メーカー各社が一斉にリストラに踏み切りました。本意ではなくともたくさんのエンジニアが転職活動せざるを得なかったとき、数少ないエンジニア募集の椅子を手に入れたのは、いち早く行動したエンジニアたちでした。「職務経歴書を書いたことはないけれど、明日には作成して提出する」「とにかく面接のための時間をつくり、1日でも早く面接してもらう」といった意識を持っているかどうかで、その後の人生が大きく変わってきたのです。
いち早く行動するためにも、前回の記事でお伝えしたように、業界動向や自社事業・製品の立ち位置などについて考える習慣を付け、「リストラが避けられそうにない」という予兆を感じ取れるようにアンテナを広げておくようにしてください。
次回は、リストラ直後の最初の椅子取りゲームで狙った椅子を得られなかったとき、つまり第1希望の企業群から内定を得られなかったとき、どのように転職先の候補を広げていけばいいのか、ご説明していきます。
河辺 真典(メイテックネクスト 執行役員)
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