帝国データバンクは2016年2月23日、人手不足に対する企業の動向調査結果を発表した。安倍内閣の経済政策(アベノミクス)における成長戦略を進めるなかで、人手不足が大きな懸念材料となり、また業種間の違いも顕著で、今後の経済活動への影響が懸念されることから、企業の見解を調査したものだ。
調査は、TDB景気動向調査2016年1月調査とともに実施され、調査期間は2016年1月18日〜31日、調査対象は全国2万3228社で、有効回答企業数は1万519社(回答率45.3%)となっている。
調査結果によると、正社員が不足していると回答した企業は39.5%で、前回調査(2015年7月時点)から3.3ポイント増加し、人手不足感は高まっている。業種別では、正社員が不足とするものは「放送」66.7%、「情報サービス」66.5%、「医薬品・日用雑貨品小売」64.0%の3業種で6割を超えている。前回調査からの増加率で見ると、「自動車・同部品小売」で11.8ポイント増、「旅館・ホテル」で11.2ポイント増の他、「情報サービス」も5.9ポイント増となった。IT関連業界や専門知識・スキルを必要とする業種で人手不足が深刻となっている。
とりわけソフト受託関連企業からは「システム開発案件が多く人材不足が深刻」「ビジネスパートナー会社から人材が確保できなくなった」などの回答が寄せられ、情報サービス関連の人材不足が拡大し、人材紹介会社からの確保も難しい現状がうかがえるという。
正社員の不足状況を従業員数別にみると、従業員数が1000人超の企業では45.2%が不足している一方、5人以下の企業では30.3%となっており、従業員数の多い大手企業ほど人手不足を感じる傾向がみられる。
また、非正社員が不足していると回答した企業は26.2%で、前回調査に比べ1.7ポイント増加。業種別では、「飲食店」が85.7%と突出した1位なのは前回同様だが、人手が不足している業種が広がる傾向が見える。従業員数別では、非正社員においても、大手企業ほど不足を感じている。
こうした結果を踏まえ、人手不足により受注を逃すことによる機会損失を最小限とするためには、短期的な就業支援のみならず、中長期の社会・人口情勢を見越した労働市場の改革が重要だとまとめている。