- 2016-9-27
- ニュース, 電気・電子系
- AgフリーDBC基板, 三菱マテリアル
三菱マテリアルは2016年9月26日、銀(Ag)を接合材として使用せずに銅(Cu)と窒化アルミニウム(AlN)セラミックスを接合する新技術を開発したと発表した。加えて、AlNセラミックス基板の両面にCuを接合した「AgフリーDBC基板」の試作対応を開始したと報告している。
従来技術では、CuとAlNセラミックス基板の接合に、チタン(Ti)などの活性金属を含んだAg系接合材を使用している。しかし、Ag系接合材を用いた場合、高湿度環境下で高電圧がかかると、電気化学的な移動現象が起こり、絶縁物表面をAgがシミ状や樹枝状に成長してショートすることがあった。
そこで三菱マテリアルは、Agを含まない低融点Cu合金とTiを組み合わせた材料を接合材として使用する新技術を開発。さらに同技術に基づき、AgフリーDBC基板の試作に着手した。
DBC基板とは、銅回路付きセラミックス絶縁基板のこと。AgフリーDBC基板はAg系接合材を使わないため、電極間の電気化学的な移動現象によるショートのリスクが低減され、パワーモジュール用絶縁基板としての信頼性が向上。また、従来のAg系接合材に比べて約200℃低い温度で接合できる。
三菱マテリアルは今後、新技術によるAgフリーDBC基板の製品開発をさらに進める予定。2019年度に本格量産を開始し、2020年度には販売目標10億円を目指すとしている。