富士キメラ総研は2016年11月28日、AI(人工知能)関連ビジネス市場についての調査結果を発表した。AIを活用した分析サービス、AI環境を構築するためのコンサルティング、SI、AI環境を支えるソフト/ハードウェア、SaaSやIaaS/PaaSといったクラウドサービスなどをAIビジネス市場とし、需要を業種別に分析している。
富士キメラ総研によると、2015年度のAIビジネスの国内市場は1500億円だった。製造、金融、情報通信業の大手企業における個別開発が中心だったため、SIやハードウェアの市場規模が大きかったという。個人情報や顧客情報を学習データとして取り扱うユーザーに関しては、セキュリティを重視してオンプレミスでAI環境を構築しようとする傾向が今後も続くと予測している。
一方、単なる数値データであるセンサーデータやPOSデータ、インターネット上で公開されている口コミなどのソーシャルデータの分析に関しては、クラウドサービスのIaaS/PaaSをインフラとしたAI環境も構築されていくと予測。また、オンプレミス/クラウドサービス上で稼働するアプリケーションに関しても、現状は個別開発が中心だが、今後はAIを標準搭載したソフトウェアやSaaSが拡大していく見通しだ。
2015年度の市場を需要業種別で見ると、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行といったメガバンクのコールセンター導入で先行している金融が495億円と最大規模だった。富士キメラ総研は、保険やFinTechへとAIの導入が広がる結果、金融が2020年度になっても最大規模であり続けると予測している。
2015年度から2020年度までの同市場の年平均成長率は46.2%と高い。それを唯一上回っているのは、年平均成長率67.0%の公共/社会インフラだ。公共/社会インフラでは、防災/防犯、スマートシティやスマートグリッドなどで、IoTやビッグデータ分析とAI関連技術を組み合わせた活用が進んでいくと見られる。