大日本印刷は2017年1月18日、耐候性、耐摩耗性に優れた樹脂ガラス用のフィルム「DNP超耐候ハードコート転写フィルム」の加工性を改良し、自動車のサンルーフなどに対応できる曲面樹脂ガラスを開発したと発表した。
同社のDNP超耐候ハードコート転写フィルムは、ポリカーボネートなどの樹脂の表面に転写することで、太陽光や風雨などに対する耐候性と傷などへの耐摩耗性が向上するというものだ。同社では2016年2月に同フィルムを転写した樹脂ガラスを発売している。
今回さらに、フィルムのハードコート層を改良したことで、従来品の課題であった曲面への追従性が向上した。これにより曲面の最大直径160mmの円弧までの曲げ加工が可能な樹脂ガラスを開発、自動車のサンルーフなどの曲面形状にも使用可能となった。
この樹脂ガラスは、樹脂の押出しと同時にフィルムを転写し、その後に曲げ加工を行うため、成形した後にスプレー塗装などでハードコート層を形成する従来の方法と比べ、加工コストや製造工程数を抑えることができる。一般の珪酸ガラスと同等の透明性を保持しながら重量は約半分で、耐衝撃性が高く割れにくい。
同社によると、自動車業界では近年、CO2排出量規制などが強化される中で、排出ガス低減や燃費向上のため車体の軽量化が求められ、軽量で耐衝撃性や断熱性にも優れるプラスチック製樹脂ガラスのニーズが高まっているという。今回の開発はこうしたニーズに向けたものだ。
同社では、今回開発した曲面樹脂ガラス製品を、自動車やバス、鉄道車両などのモビリティ用途に向けて販売し、2020年度に年間50億円の売上を目指すとしている。
同製品は、1月18日（水）〜20日（金）に東京ビッグサイトで開催の「オートモーティブワールド」の同社ブースに出展される。
