MIT、開発中の新型コロナウイルス検査法を改良――ウイルス濃縮過程を組み込み感度も向上

米マサチューセッツ工科大学(MIT)は、2020年9月17日、新型コロナウイルス検査法「STOPCovid」の改良バージョンについて公表した。研究成果は『The New England Journal of Medicine』に2020年10月8日付で発表されている。

「STOPCovid」と名付けられたこの検査法はゲノム編集技術「CRISPR」を活用するもので、30分~1時間程度でPCR法と同等の精度で判定できることを目標に開発されている。現在はまだ研究段階にあるが、原理的には毎日自分で検査できるぐらい安価に製造できるので、一般への普及が期待されている。新型コロナウイルス検査で陽性と判定された202人および陰性と判定された200人、計402人から鼻咽頭スワブで採取したサンプルを用いてSTOPCovid最新版の実証試験を行ったところ、PCR法で判定された陽性例の93%を検出したという。

研究者らは、病院、薬局、介護施設、学校などの現場で、特別な手法や専門家を必要としない検査法の開発を重視してきた。実際に、STOPCovidは全て1つの過程で済ませることができるようになっている。

STOPCovid最新版ではRNAを引き寄せる磁気ビーズが加えられており、サンプル中に存在するウイルス遺伝物質を濃縮するプロセスも組み込んでいる。これにより、需要が高まり供給不足になりがちな高価な精製キットを必要とせず、検査室での濃縮過程も省けて検査時間短縮にもつながる。濃縮プロセスを組み込むことで検査の感度向上にもつながっており、STOPCovidの判定結果はPCR法の精度に近づいてきているようだ。

STOPCovidはより侵襲性が低い鼻腔スワブを使って採取したサンプルでも判定可能で、現在は唾液サンプルでのテストも進めている。唾液で検査できるようになれば、自宅での検査がより簡単に行えるようになるだろう。

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