ジェイテクトは2017年7月4日、自動車のデファレンシャル(デフ)のピニオン支持用アンギュラ玉軸受において、低トルク性能を向上させた新製品を開発したと発表した。2020年に量産開始する予定だ。
同社では、1980年代に低トルク円すいころ軸受「LFT」を開発して以降、軸受の低トルク化の研究を重ねている。さらにこの低トルク化技術を玉軸受やハブユニットなど、他の軸受品種にも適用し、「LFTシリーズ」としてラインナップしている。今回の開発品は、LFTシリーズのひとつとして、次世代超低トルク円すいころ軸受(LFT-Ⅳ)で開発した油量制御を、タンデムアンギュラ玉軸受(タンデムAC)に適用したものだ。
自動車のデフピニオン用軸受には、主に円すいころ軸受が使用されるが、CO2削減や燃費向上を目的に、同じ接触角方向を持つ複列型玉軸受に異なる玉ピッチ円直径(玉P.C.D.)を採用し、負荷容量と剛性を向上させたタンデムACが2005年から実用化されている。今回このタンデムACにLFT-Ⅳの技術を適用し、さらなる低トルク化と長寿命化を実現した。
同開発品は、CAEを活用した油流れ解析により、樹脂保持器と内外輪形状を最適化して軸受に流入する油量を制限する。これにより、従来のタンデムACと比べ攪拌損失を最大30%低減した。デフピニオン支持用の軸受として最高レベルの低トルク性能を有しており、車両燃費の1%向上に貢献するとしている。
また、軸受内部に流入する異物量も低減し、異物油中の寿命は従来のタンデムACと比べ、1.5倍となっている。この技術は単列アンギュラ玉軸受にも適用でき、玉軸受を使ったデフの環境性能向上と自動車の燃費改善に貢献する。
同社では、自動車メーカー、アクスルメーカー等に向け年間5億円の売り上げを目標としている。