産総研、高精度のプランク定数測定で「キログラム」の国際定義の改定に貢献

産総研で開発したシリコン単結晶球体の形状を高い精度で測定するレーザー干渉計

産業技術総合研究所は2017年10月24日、プランク定数を高精度で測定することで、質量単位である「キログラム」の国際定義の改定に貢献したと発表した。

キログラムは現在、世界に1つしかない分銅「国際キログラム原器」の質量として定義されている。しかし国際キログラム原器の質量は、表面の汚染などによって変動することが判明。それを受けて、普遍的な基礎物理定数に基づいた定義に改定できるように、国際キログラム原器の安定性に勝るような精度で定義が可能な基礎物理定数の測定の研究が各国で進められてきた。そして、キログラムの定義をプランク定数に基づいた定義に移行するかどうかの審議が2018年に行われる予定だ。キログラムの定義改定は約130年ぶりとなる。

今回産総研では、超高精度のレーザー干渉計と表面分析システムを用いて、直径約94mmのシリコン単結晶球体の形状を1nm未満の精度で測定し、高精度でプランク定数の測定を行った。同研究所によると世界最高レベルの精度での測定だという。

基礎物理定数の推奨値を定期的に公表している科学技術データ委員会は、今回産総研が測定した結果と複数の海外の研究機関が行ったプランク定数の高精度測定結果に基づいて、キログラムの新しい定義に用いられるプランク定数の値を決定した。

産総研によると、日本が国際単位の基本単位決定に直接関与するのは初めてのことだという。

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