“成長している”人ほど、研修制度が充実。“成長していない”人の42.0%は直近3年間で1度も研修を受けていない

~研修、教育制度など、“成長している”人は環境に恵まれていた~

ポイント

  • “成長している”グループは、研修の受講日数が1年間で2~3日多かった
  • ここ3年間で「研修を受けたことはない」。“成長している”16.5%、“成長していない”42.0%
  • メンター制度、研修施設、資格取得補助など、製造系エンジニアは恵まれた環境にある
  • 研修数が増えるなど、“成長している”人の職場では教育体制が改善されていた
  • 研修以外のOff-JT、最も使われている手段は「WEB検索」

調査概要

エンジニアのためのキャリア応援マガジン「fabcross for エンジニア」は、製造系エンジニア500人と技術系職種ではない会社員500人、計1000人を対象に「成長実感と研修の充実度」に関する調査を実施しました。

前回のレポートで、多くのビジネスパーソンが「担当業務に対する責任感・モチベーション」(一般:34.6%、製造系:45.6%)こそ、成長に「不可欠」な要因であると考えていることが分かりました。成長を「大きく加速する」要因としては、「担当業務に対する責任感・モチベーション」に加えて、「程よく困難な業務目標」なども重要になるようです。

こうしたデータからも分かるように、業務を通じて経験を積み、指導を受ける「OJT」こそ、ビジネスパーソンとしての成長を大きく促すと考える向きもあります。ただし一方で、適切に研修などの「Off-JT」を積んでいく必要性もあると唱えられています。

Off-JTはビジネスパーソンの成長に影響を与えているのか、今回のレポートでは成長を実感できているグループとできていないグループとの回答を比較しながら、別角度から調べてみたデータをご紹介していきます。

調査結果サマリー

“成長している”グループは、研修の受講日数が1年間で2~3日多かった

・職種別に1年間の研修を受講する日数は何日か、研修・勉強会のタイプ別に分けて質問した。「受講が義務付けられている社内研修」「社員主導で開催される社内勉強会」「自発的に参加する社外研修」のいずれも、1年間に3日以内だとの回答者が5割以上を占めた。

・“成長している”グループと“成長していない”グループを比較するとどうなるのだろうか。それぞれ集計してみたところ、どのタイプの研修においても、“成長している”グループの方が、研修の受講日数が多くなった。

それぞれの平均的な受講日数を求めてみたところ、「受講が義務付けられている社内研修」は“成長している”が5.0日、 “成長していない”が2.7日、「社員主導で開催される社内勉強会」は“成長している”が5.4日、 “成長していない”が2.7日、「自発的に参加する社外研修」は“成長している”が4.8日、 “成長していない”が2.3日となった。

ここ3年間で「研修を受けたことはない」。“成長している”16.5%、“成長していない”42.0%

・職種別に直近3年間で受講した研修・勉強会のうち、どのようなタイプのものがキャリアアップにつながったかと複数回答可の形式で意見を求めたところ、次のような結果となった。

若干ではあるが、製造系エンジニアの方が「社外研修・勉強会」を選んだ回答者が多く(一般会社員:9.6%、製造系エンジニア:13.0%)、対して一般会社員では「ビジネスマナー研修」(一般会社員:13.2%、製造系エンジニア:8.4%)を選んだ回答者が多かった。

「中堅社員教育」「管理職研修」でも製造系エンジニアの回答率が高くなったが、こちらは製造系エンジニアという職種の特性上、男性の比率が高いことが影響していると考えられる。

さらに、どのような研修・勉強会が役に立ったか、自由回答形式で尋ねたところ、製造系エンジニアからは次のようなコメントが集まった。

[キャリアアップにつながった研修・勉強会の内容]
・大手に勤めていた方からの最新技術講習
・昨今話題となっている人工知能について、外部から大学教授を招いて講義を受けた。人工知能が最近話題に上がる前から研究している方で、実際にどのように開発に結びつけていくか、また、どのような学習を行えば良いかという点で、受けた意義があった。
・ソフト開発者とハードウェア開発者が混じって受講した勉強会は、他の開発者と交流できてよかった
・開発系共通のデータ解析手法の研修に参加し、自分の業務テーマに落とし込んだ
・機械設計の基礎研修会。機能要素の分解と、それぞれについての最適化、コストとのバランスの取り方等をゼミ形式で行った。機械設計の考え方を再確認できたことと、後輩の指導にも役だった。
・職種としては同等だが、業界が異なる(厳密には対象となる製品群が異なる)人の考え方に振れることが出来た。

・こちらも“成長している”グループと“成長していない”グループとでアンケート結果を比較した。すると、ほとんどの項目で“成長している”グループの回答率の方が高かった。

両者を比較して特に差が目立ったのは、直近3年間で「研修を受けたことはない」という回答。“成長していない”グループでは42.0%を占め、“成長している”グループの2.5倍ほどとなった。

メンター制度、研修施設、資格取得補助など、製造系エンジニアは恵まれた環境にある

・社内研修をめぐる環境や、社員教育体制の変化については、どうなっているのだろうか。こちらも職種別/成長実感の有無でそれぞれ集計してみた。

社内研修の環境については、一般会社員よりも製造系エンジニアの方が恵まれていることが分かる。「社内にメンター/トレーナーの制度がある」「会社として研修専用の施設を保有している」「社内研修を開発する専門の部署がある」「社員が希望した研修・教育を手配してくれる風土がある」「資格取得や自己啓発のための研修参加を補助する制度がある」のどの項目でも、製造系エンジニアの方が10ポイント前後上回った。

・“成長している”グループと“成長していない”グループとの比較では、こちらは“成長している”グループの方が各項目で10ポイントほど上回る結果となった。

研修数が増えるなど、“成長している”人の職場では教育体制が改善されていた

・ここ3年間で、社員教育体制がどのように変化したのか質問してみた。その結果を職種別に集計してみたところ、大きな違いは見受けられなかった。

・成長実感の有無で比べた結果は次のとおり。こちらを見ると、“成長している”グループの方が、「会社が提供する研修(義務参加)数が増えた」「会社が提供する研修(任意参加)数が増えた」「社員教育を担当する部署が新設された/増強された」「社外での研修受講や資格取得をサポートする制度ができた/拡充された」のいずれの項目でも、“成長してない”グループをそれぞれ10ポイントほど上回った。

研修以外のOff-JT、最も使われている手段は「WEB検索」

・研修以外のOff-JTで、自己啓発に役立っているのはどのような手段なのだろうか。調査してみたところ、一般会社員・製造系エンジニア共に「WEB検索」(一般会社員:44.8%、製造系エンジニア:54.8%)で調べて情報を取得するとの回答が最も多かった。


前回の調査結果を見ると、ビジネスパーソンの成長にとって「不可欠」/「大きく加速する」要因として、回答者はOJTの役割が大きいと考えていることが分かった。

ただし一方で、”成長している”と実感できているグループにおいては、そうでないグループと比較して、研修の受講日数が2~3日多いなど、研修等のOff-JTがはっきりと充実している状況にあることも明らかになった。

OJTほど本人に成長を実感させるものではないにせよ、成長を促す土台をつくる。研修などのOff-JTには、そうした役割があると考えてもいいのだろう。


調査方法:インターネットリサーチ
期間:2017年11月17日~11月24日
対象:技術職以外の会社員500人、製造系エンジニア500人

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