東洋ゴム工業(以下、東洋ゴム)と京都大学発のEV(電気自動車)メーカーGLMは2018年1月17日、EV車両向け足回りモジュール(複合部品)の共同開発に取り組むことに合意し、これに着手したと発表した。
両社で開発するのは、道路状況に合わせて自動車の緩衝装置(サスペンション、ショックアブソーバー、センサーなど)を自動制御し、揺れや振動を緩和して座席に伝わりにくくする足回りモジュール。各種緩衝装置を自動制御して揺れや振動を緩和した滑らかな乗り心地(フラットライド)の実現を目指すもので、2020年中に製品化をめざすという。
開発する主要部品は、フラットライドを実現するエア式のアクティブサスペンション(揺れを電子制御するサスペンション)だ。東洋ゴムは、一般的なバネ式より衝撃をよく吸収するエア式のサスペンションで高い技術を持っており、GLMでは、アクティブサスペンションや足回り機構、車全体の要素技術といった情報や総合的なノウハウの提供などでサポートする。これにより、エアサスペンションに電子制御技術を組み込んで応用した次世代型のアクティブサスペンションを共同で開発する計画だ。
より静かに走行するEV車両に組み込まれる部品は、静粛性能などでガソリン車とは異なる条件下で求められる性能を実現していく必要がある。東洋ゴムの自動車用タイヤ、エアサスペンションなどの自動車用部品は、振動制御に関係が深く、自動車の静粛性、快適性、安全性を維持するために重要となる。今後、未来モビリティを見据えた事業ソース開発の一環として「EV車両向け足回りモジュール」の開発を進めていく。
一方GLMは、EVスポーツカー「トミーカイラZZ」など完成車の開発、販売のほか、プラットフォーム(車台+パワートレイン)やその開発ノウハウなどを、自動車メーカー以外に提供する「プラットフォーム事業」を進めている。その展開の上で、多様な道路環境に対応できる高機能な足回りモジュールは、悪路の多い新興国各地域でのニーズが高まると見ており、重要な役割を担っている。