危険な切断作業をロボット化――MIT、大工作業を補助するロボット「AutoSaw」を開発

個別注文の大工作業をするシステム「AutoSaw」

MITのコンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)の研究チームが、様々な木製家具をカスタマイズ設計・切断加工できるシステム「AutoSaw」を構築した。ロボット技術に人工知能を組み合わせることにより、危険を伴う切断作業の自動化を可能にする試みだ。研究成果は、2018年5月にオーストラリアのブリスベーンで開催される、「ロボットと自動化に関する国際会議(ICRA)」において発表される。

一部の大工にとって、大工作業にソフトウェアを導入することはすでに珍しいものではない。しかし、木材を設計図面通りにカットできるCNC工作機は通常大きくて扱いにくいため、多くの大工は安価で簡単に使えるが危険性の高い電動丸ノコやジグソーなどを使うことになる。そこで研究チームは、切断作業時の怪我のリスクを最少化し、大工が設計等もっと重要な作業に集中できるよう、大工作業を自動化するロボット・システムを検討した。

CSAILのDaniela Rus所長は、「ロボットは既に定形の大量生産品製造に使われているが、AIを利用することで、個別オーダーなどマスカスタマイゼーションにも対応できる」とし、「AutoSawは、大工作業におけるロボットの応用だけでなく、マスカスタマイゼーションの可能性も示した」と説明する。

AutoSawは、設計用テンプレートと汎用CADシステム「OnShape」を使い、家具のサイズや構造強度、外観などを個別に設計する。設計が完了すると、CADデータはロボットに転送されて、切断プロセスが実行される。研究チームは、木材の切断機構には動作追跡ソフトウェアと小型可動ロボットを用いた。また、木材から部品を切り出すためには、iRobotの掃除ロボット「Roomba」を改造してジグソーを装着し、木材をハンドリングするためにKukaのモバイルマニピュレーター「youBots」2基を用いた。この構成により、大型ロボットアームのように、広い作業空間を必要とせず、費用効果も高いという。

切断作業が終了した後は、指示に従い、家具のパーツを順番に組立てれば良い。シミュレーションの結果、椅子や物置、デッキ、ベランダを、家やアパートの限られた空間に納まるように、柔軟に設計製作することができた。

近年、AIは碁の対戦や作曲等多くの進展があったが、大工作業のような非定型の現場作業に対応したシステムを構築するのは、非常に難しいという。研究チームは、AutoSawは未だ研究段階であり、今後は穿孔や接着のような複雑な作業にも対応することを計画している。

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