米Amazon.comが数百人の社員を一時解雇した――。2018年2月、CNNなどがそんなニュースを報道した。これまでAmazon.comは、社員を一時解雇することはほとんどなかったことから、「Amazonはどんな理由から一時解雇したのか」とさまざまな憶測が飛び交っている。
CNNによると、一時解雇の対象となった社員の大半は、ワシントン州シアトルにあるAmazon.com本社に勤務している。本社では4万人以上が働いており、影響を受けるのはオンライン小売事業など、Amazon.comの中でより成熟している部門だという。
この件に関して、Seattle Timesは広報のコメントを掲載。年間の雇用計画のプロセスとして小規模の解雇はあるものの、全体としては採用数が削減数をはるかに上回ると説明している。一時解雇の影響を受ける社員に対しては、社内で別ポジションの打診も検討しているようだ。
TIMEの記事を見ると、一部には「これまで人間が担当していた機能を、もっとロボットやコンピューターに任せようとする動きなのではないか」と見る向きもあるという。
TIMEではさらに、以前はAmazon.comに勤めていたMichael Lagoni氏の見解を紹介。Lagoni氏は現在、ECデータ分析企業StacklineのCEO(最高経営責任者)を務めている人物だ。
Lagoni氏によると、Amazon.comは新製品の需要予測や価格交渉などのタスクについて、自動化を推進。こうしたタスクはこれまで、Amazon.comのプラットフォーム上で商品を販売する業者とAmazon.comのバイヤーとの間でやり取りされてきたが、現在ではほとんど自動化されているという。「業務を自動化するか、こうした業務はメーカー側が自分たちでやるようにと差し戻そうとしている」(Lagoni氏)
Amazon.comの求人を見るとAmazonウェブサービス(AWS)の部門や音声認識ソフトウエア「Alexa」の開発部門での雇用が多く、こうした部門に力を入れていることが推測できる。「Amazon.com自体のビジネスは成長を続け、衰えてはいない」(Lagoni氏)。マイナス要因による一時解雇ではなく、全体的な人員削減を目指しているわけではなさそうだ。
同社は現在、シアトルで3900人を募集中。世界全体でも1万2000人の募集をかけている。2017年末時点でのアマゾンの世界全体の雇用は56万人。前年から66%増加したことになる。これまでの成長が急激であった分、人員配置に修正があってもおかしくないとの意見もある。
いくつかの部門で持て余される人員の再配置や一時解雇という策が迅速に取られていると考えるのなら、評価できるアクションなのかもしれない。
関連リンク
Amazon lays off hundreds of employees|CNN
Amazon laying off corporate employees in rare cutback|Seattle Times
Why Amazon Just Cut Hundreds of Jobs at Its Seattle Headquarters