砂漠の大気から水を取り出すデバイス、MITが実証実験開始

マサチューセッツ工科大学(MIT)は2018年3月22日に、金属有機構造体MOF(Metal-0raganic Framework)を活用し、太陽光のみで作動する造水装置の実証実験を砂漠地域で実施したと発表した。この研究成果は『Nature Communications』に論文「Adsorption-based atmospheric water harvesting device for arid climates」として2018年3月22日に発表されている。

一般的に大気から造水する場合、霧を利用する場合には100%の湿度、冷却装置を使った結露を利用する場合でも50%以上の湿度が必要だという。MOFを利用するこの技術は、結露点以下の湿度でも造水が可能で、ポンプやコンプレッサーなど摩耗する可動部品も不要という利点がある。低湿度であっても、太陽光量が豊富であれば水を受動的に抽出でき、低熱源のバイオマスや廃熱があれば、夜間でも継続して稼働できる。

このMOFを使った造水装置は、カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)とマサチューセッツ工科大学(MIT)の共同研究チームが、2017年4月に開発したデバイスで、今回実際の砂漠の大気から造水できることの実証実験を実施した。

研究チームは、アリゾナ州テンピの湿度10~40%と非常に乾燥した条件下において、露点以下の温度でも造水でき、太陽光の熱効率が14%に達したことを確認した。得られた水の質量分析試験でもMOFから水への溶出がなく、材料の安定性が確認された。今回の試験結果から、装置を終日稼働させた場合、MOF1kg当たり0.25L以上の水が得られると見積もっている。

研究チームによると、現在のプロトタイプ装置では数mLの水しか生産できないが、将来は何Lもの水を生産できるようなシステムへと拡張することが目標だという。最終的には1世帯が必要とするレベルの水を供給することを目指したいと語っている。

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