フラッシュメモリとDRAMの良いとこ取り――高速不揮発性メモリ「ULTRARAM」を開発

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英ランカスター大の研究チームは、フラッシュメモリの不揮発性とDRAMの高速性を兼ね備えた、新しいタイプのメモリ「ULTRARAM」を開発し、初めてシリコンウェハ上に形成したと発表した。低消費電力で効率的な電荷貯蔵型メモリの大量生産に向けた重要な一歩と期待される。研究結果は、2022年1月5日付けの『Advanced Electronic Materials』に掲載されている。

フラッシュメモリは不揮発性で、データを失うことなくポケットにいれて持ち運ぶことができるが、DRAMより読み書き速度が遅く、寿命も短い。ストレージとしては最適だが、ワーキングメモリには向いていない。一方、DRAMは高速で、ワーキングメモリとして使われるが、揮発性のため、電源を切るとデータが消えてしまう。これら2種類のメモリの長所をもち、データを確実に保存しつつ、容易に変更できる「ユニバーサルメモリ」に対して注目が集まっている。

Manus Hayne教授率いるチームも、以前からユニバーサルメモリの実用化に向け、ULTRARAMと名付けたメモリの開発に取り組んでいる。ULTRARAMは、化合物半導体と三重障壁共鳴トンネルヘテロ構造を利用し、フローティングゲートに電荷を蓄える不揮発性メモリだ。

2021年にはULTRARAMを化合物半導体のひとつ、GaAs(ガリウムヒ素)基板上に形成することに初めて成功している。化合物半導体は、もろく、高価で、基板の大型化が難しいが、高速で光電子特性に優れるため、LED、レーザーダイオード、赤外線検出器などに使われている。

ULTRARAMを商用化するには、化合物半導体基板よりも機械的強度が高く、低コスト化、量産化が期待できるシリコン基板上に組み込むことが求められる。シリコンと化合物半導体を融合させるには、格子不整合、極性や熱膨張係数の違いなど解決すべき問題があったが、分子線エピタキシーを使用してシリコン基板上にGaSb(ガリウムアンチモン)のバッファ層を設け、その上にメモリ層を実装することに成功した。

作製したシングルセルメモリの書き込み/消去電圧は約2.5V、高速スイッチングが可能で、単位面積当たりのスイッチングエネルギーはDRAMの100分の1、またはフラッシュメモリの1000分の1を示した。データ保持期間は推定で少なくとも1000年だという。書き込み/消去サイクルは少なく見積もっても1000万回以上と、フラッシュメモリの100~1000倍の性能を示した。いずれもGaAs基板上のデバイスによるこれまでの性能を上回るとしている。

関連リンク

Mass production of revolutionary computer memory moves closer with ULTRARAM™ on silicon wafers for the first time
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