人工光合成による水素製造を目指す――ケンブリッジ大、藻類を用いた半人工的光合成の効率化に成功

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2つの電極を用いた実験において、光電気化学セルが模擬された太陽光により照射されている。

ケンブリッジ大学の研究チームが、藻類を用いた半人工的な光合成を利用して、効率よく水素燃料を生産する新しい手法を考案した。太陽光を利用して水を分解し、水素と酸素を生産するもので、研究成果は、2018年9月3日の『Nature Energy』誌において公開されている。

光合成は、植物が太陽光をエネルギーに変換するのに用いるプロセスだ。このプロセスは地球上で最も重要な反応の1つであり、植物によって吸収された水が分解されて、酸素と水素が生成される。また光合成は地球上の殆ど全ての酸素の源になっており、水素は環境に優しく無尽蔵な再生可能エネルギーになり得る。

ただし、「自然界の光合成は、種の生き残りのために進化してきたので、効率面では必ずしも高くなく、必要最小限のエネルギーだけしか生産していない。潜在的に可能なエネルギーの1~2%程度しか生産していない」と、研究チームは語る。

その一方、光合成を人工的に再現する手法として、光触媒材料として有名な酸化チタンを用いて、水を電気分解し酸素と電圧を発生させるなどの研究が数十年検討されてきた。しかしながら、高コストなプロセスや毒性のある触媒に依存するなど、いまだ実用的なレベルにまでスケールアップできているとは言い難い。

今回ケンブリッジ大学St John’s Collegeの研究チームは、完全に人工的な手法ではなく、自然界の生物要素と人工的な開発技術を組み合わせた「半人工的光合成」により、水を水素と酸素に効率的に分解することに成功した。研究チームは、藻類中に存在する酵素であり、プロトンを水素原子に還元することができるヒドロゲナーゼを、色素増感型光アノードを利用した光化学系Ⅱデバイスと組み合わせることで、新しい光合成プロセスを構築した。その結果、赤色および青色波長領域に加えて、自然界の光合成では余り利用されてない、緑色の波長領域の光も活用できるようになり、効率的に太陽光を吸収することができるようになった。

St John’s Collegeのフェローであり、研究チームを率いるErwin Reisner博士は、「この研究では、有機系の生物要素を無機材料に統合して、半人工的なデバイスを組み立てる多くの課題を克服できた。太陽エネルギー変換のための、革新的なモデル・システムになる可能性がある」と説明する。また、他の反応と組み合わせることにより、もっと大規模な太陽光利用技術を開発できると、今後の展望を明らかにしている。

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