都市航空交通向け自律型eVTOLのデモ機を発表――時速約240kmで航続距離は約97km、2021年後半に初飛行を予定

Archer/YouTube

電動垂直離着陸機(eVTOL)を設計開発している米Archer Aviation(以下、Archer)は、2021年6月10日、ロサンゼルスでの対面式イベントおよび世界中に向けたオンライン生配信で、同社初のデモ航空機「Maker」を発表した。対面式イベントでは、eVTOL業界では初めて最先端のXR技術と映像制作技術を用いて、Makerに実際に乗っているかのように感じられるユニークな体験を参加者に提供した。

Makerは時速150マイル(約240km)で60マイル(約97km)飛行できる2人乗り自律型eVTOLだ。100%電気で動くため、ゼロエミッションとなっている。重量は1508kgだ。あらゆる状況でも飛行を維持するためにバッテリーとモーターを冗長化しており、不測の事態が発生しても安全に帰還できる。バッテリーは75kWhで、10分で急速充電が可能だ。独立したバッテリーパック6個で12個の電動モーターに電力を供給する。

距離20〜40マイル(約32~64km)の飛行ミッション向けに設計されており、1回のフライトでバッテリーパックの約30%しか使用しない。毎回10分でフル充電してすぐに飛び立つことができるため、1日40回以上のフライトが可能となり、一般大衆向けのスループットが高い輸送システムを実現できる。

Makerは地上2000フィート(約610メートル)を飛行。飛行中に発する音はわずか45デシベルで、頭上を飛行していてもほとんど聞こえないほどだという。これはヘリコプターの100分の1の静かさといえる。

また、座席の足元スペースは広く、周囲270度の視界が確保され、快適な構造となっている。13インチタッチスクリーンには、フライト情報や機内エンターテインメントの選択肢を表示する。

Makerは2021年後半に地上試験を開始し、ホバリング飛行を行う予定だ。その後、さらに最大定員搭乗時の時速150マイル(約240km)以上までフライトエンベロープ(航空機が安全に飛行できる速度、高度、荷重の限界範囲)を拡大していくとしている。

Archerは、過去1年半にわたりアメリカ連邦航空局(FAA)と緊密に協力して、乗客定員4人の有人航空機を開発してきた。今回発表されたMakerはその認証テストベッドとして製造されたもので、2022年に有人航空機の製造を開始し、2024年にはロサンゼルスとマイアミで運用開始する予定だ。

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Archer Unveils eVTOL Aircraft

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