新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2018年10月30日、NEDOプロジェクトにおいて、高輝度青色半導体レーザーを搭載したハイブリッド複合加工機の開発に世界で初めて成功したと発表した。
大阪大学、ヤマザキマザック、島津製作所によるもので、日亜化学工業と村谷機械製作所が技術協力した。今後、ヤマザキマザックが生産ラインを整備し、2019年の製品化を目指す計画だ。
青色半導体レーザーは金属に対する吸収効率が高く、近赤外線レーザーでは困難だった金や銅などの加工に適している。高い放熱性を持つ銅素材の加工など、金属向け次世代加工機の光源への応用が期待されているが、高輝度化などが課題となってレーザー加工機への搭載は進んでいなかった。
今回開発したハイブリッド複合加工機は、島津製作所が2018年1月に製品化した高輝度青色半導体レーザー光源を組み込んだマルチビーム加工ヘッドを搭載する。世界最高クラスとなる100Wの光源を3台載せて、それぞれから出力されるビームをマルチビーム加工ヘッド技術で重畳することで、集光位置での出力を300Wに引き上げた。純銅粉末を溶融できるパワー密度となり、高効率・高品質に溶接・積層できるようになると説明している。
さらにこのハイブリッド複合加工機は、レーザー加工に加えて切削5軸加工の機能も備える。純銅と他の金属材料の異種材料接合にも対応し、切削加工との工程集約が可能だ。純銅表面をコーティングして放熱性を向上させた高放熱部材など、航空・宇宙・電気自動車に必要なエンジン周辺などの部品加工への応用が期待できるという。