- 2024-7-29
- 技術ニュース, 電気・電子系
- ジャイロトロン, 京都フュージョニアリング, 強磁場発生超伝導コイル, 核融合, 研究, 量子科学技術研究開発機構, 電力マイクロ波
京都大学発のスタートアップ、京都フュージョニアリングは2024年7月26日、量子科学技術研究開発機構(QST)と共同で、核融合炉の中核機器であるプラズマ加熱システム「ジャイロトロン」を使い、世界で初めて5つの周波数の電磁波を発振し、236GHzの大電力マイクロ波の発生に成功したと発表した。
同社はフュージョン(核融合)エネルギー実現に向けた研究を進めており、QSTが開発した104GHz、137GHz、170GHz、203GHzジャイロトロンをベースに、同社が磁場設計して新たに開発した、9.5Tの強磁場発生超伝導コイルを組み合わせて236GHzの電磁波を発振できるジャイロトロンを開発した。236GHzは、フュージョンエネルギーによる発電を検証するため建設が検討されている原型炉や、将来的に実用化された場合に建設される商業用発電炉などの、ITERより強磁場となる核融合炉にも適用が可能な周波数になる。
ジャイロトロンの製作は、キヤノン電子管デバイスが担当し、ジャパンスーパーコンダクタテクノロジー(JASTEC)が超伝導コイルを製作した。また、実験の実施においては関西電力の協力を得た。
同社では今後、出力の最適化や発振効率の検証を行いながら、長パルス運転の実現に向けた開発を進めていく。さらに今回の成果を核融合業界に広く普及させ、世界中の研究機関やスタートアップが利用できるようにするために、周辺機器を含めたシステムパッケージの産業化を目指す。
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