スーパーキャパシタのエネルギー密度を大幅に改善――3Dプリントしたグラフェンエアロゲル電極の効果

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米カリフォルニア大学サンタクルス校とローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)の研究チームは、3Dプリンターを使用してスーパーキャパシタ電極を作る新プロセスを開発した。グラフェンエアロゲルと酸化マンガンから成る擬似キャパシタ電極は、高いエネルギー密度とサイクル特性を示すと同時に、3Dプリントによる形状の自由度を備えている。研究成果は、2018年10月18日付けの『Joule』に掲載された。

スーパーキャパシタとバッテリーは充放電ができる点では同じだが、バッテリーが化学反応を利用するのに対し、スーパーキャパシタは主に静電メカニズムを利用する(電気二重層キャパシタ、EDLC)。

スーパーキャパシタは数秒から数分で充電が完了し、容量劣化も少ないという利点がある反面、貯蔵可能なエネルギー密度が低く、長時間蓄電できないという欠点がある。

こうしたスーパーキャパシタの欠点を補い、さまざまなアプリケーションへの展開するために研究されているものとして、疑似キャパシタがある。擬似キャパシタは、スーパーキャパシタの一種で、電極に金属酸化物(擬似容量材)を用いて、静電メカニズムに加えてバッテリーのように化学反応を併用する。ところが電極に酸化物を充填して厚くすると、バルク材のイオン拡散速度が遅いために静電容量が急激に低下するという欠点があり、この2つのバランスが課題だった。

研究チームは、グラフェンエアロゲルを格子状に積み重なるように3Dプリントし、擬似容量材の酸化マンガンを充填させて電極を作製した。多孔質のゲルと微細な格子構造の効果で効率的にイオンが拡散し、静電容量を確保できる。実験では格子を4mmまで厚くし、そこに、商用デバイスの10倍以上にあたる182.2mg/cm2の酸化マンガンを電着させることで、エネルギー密度1.56mWh/cm2、面積比容量44.13F/cm2を達成した。

特筆すべきは、面積比容量が酸化マンガンの充填量と電極の厚さに比例する点だ。一方、重量比容量や体積比容量はほとんど変わらなかった。これは酸化物の充填量を増やしても、電極の性能劣化につながらないことを示す。サイクル特性も良好で、2万サイクルの充放電に対して、容量劣化は10%以下だった。

「この研究の重要な点は、擬似容量材を保持するためのグラフェン構造を、3Dプリンターを使って製造したということだ。今回の発見は、3Dプリンターを使ったエネルギー貯蔵デバイスの新しい製造方法の検証となる。」と研究チームは語る。

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