電子機器やバッテリーなしで動く、蝶を模倣したロボット羽の開発

ドイツのダルムシュタット工科大学は2025年1月24日、同大学とヘルムホルツセンター・ドレスデン・ローゼンドルフ研究所の研究チームが、蝶の効率的な羽の動きに着想を得て、電子機器やバッテリーを必要としない磁場駆動の柔軟なロボット羽を開発したと発表した。同研究成果は2024年12月10日、「Advanced Intelligent Systems」誌に掲載された。

オオカバマダラと呼ばれる蝶は、優れた耐久力と適応力で知られており、毎年、カナダとメキシコの間の数千kmを移動できる。能力の鍵は、能動的な動きと受動的な曲げの組み合わせによって効率が良い飛行を可能にする、独特な羽にある。

研究チームは、羽の形状をした柔軟なプラスチックに磁性粒子を埋め込んで、外部磁場によって蝶の動きを模倣できるロボット羽を開発した。さまざまな構造の羽を3Dプリンターによって作製し、有限要素解析と実験を組み合わせ、構造の違いが羽の操縦性と効率にどのような影響を与えるかを調べた。その結果、羽の構造の曲げ特性に対する重要性を発見し、ロボット羽の効率の良い設計方法を発表した。

磁場駆動の羽には多くの用途が見込まれる。例えば、環境分野では花粉媒介者の個体数の監視や大気環境の調査に利用する、昆虫ロボットへの活用が期待されている。羽は小型でエネルギー効率に優れるため、被災地での捜索や救助にも理想的だ。

同研究は、電子部品なしで動作する柔軟な磁場駆動の羽に焦点を当てているが、他の変形ロボットにも応用可能だ。例えば、精密に制御可能な動きを持つ軽量ロボットは、繊細な組織の手術に対する低侵襲手術に使用できる。

研究論文の筆頭筆者であるダルムシュタット工科大学のMuhammad Bilal Khan氏は、「現在の羽はまだ、外部磁場を必要としますが、将来、小型の磁場発生装置を統合すれば、自律的な移動も可能になるかもしれません」と説明した。研究チームは現在、ロボットの動きや飛行経路を磁場によって複雑に制御する方法を調査している。

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