エポキシ系並みの高強度を持つ高弾性ウレタン系接着剤、横浜ゴムが基礎技術を確立

新技術を活用した接着剤の試作品

横浜ゴムは2018年11月20日、最大引張り強度20~40Mpaに加えて、最大伸び率200~500%という弾性も兼ねそろえた2液型ウレタン系接着剤の基礎技術を確立したと発表した。一般的に達成困難な技術領域を定めた技術的上限曲線(バナナ曲線)を越える数値を実現したことになる。

車体の軽量化に取り組む自動車業界では、アルミや炭素繊維強化樹脂(CFRP)などの軽量材料を組み合わせるマルチマテリアル構造の実用化が進んでいる。マルチマテリアルの接合には自動車構造用接着剤が使われているが、従来から使われているエポキシ系接着剤は高い強度を持つものの、動きに追従するフレキシブルな弾性が低く、多様な部材に対応しづらかった。

そこで横浜ゴムは、建築や自動車窓枠向けに使われるウレタン系接着剤の技術を生かし、強度と弾性を兼ね備えた接着剤を研究。高強度・高弾性のウレタン系接着剤を開発した。

同社が開発した接着剤は、温度・湿度などによって硬化の不具合や硬化速度にばらつきが生じるウレタン系接着剤の欠点も大幅に改善。可使時間や強度発現を約2~5分の間で設定できるようになった。硬化した後の接着剤の温度特性についても、-30~180℃で温度依存性が小さい安定した物性を保持できる。

さらに、2液の混合比率のずれが±20%以内であれば強度・伸び共に変わらない品質の安定性を持ち、混合比率を変えることで物性を意図的にコントロールすることも可能だ。

用途としては、自動車構造用接着剤のほか、過酷なヒートサイクルにさらされる電子機器をはじめとした工業用接着剤などを想定している。

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