車載用ディスプレイ市場、2017年は1億4868万枚、2021年には1億9199枚に成長 矢野経済研究所

車載用ディスプレイ世界市場規模推移と予測

矢野経済研究所は2018年12月10日、6月から8月に実施した車載用ディスプレイ市場の調査結果を発表し、純正品・市販品別出荷数量、部位別やインチ別の市場動向、価格動向などを明らかにした。純正品に市販品を加えた、2017年におけるメーカー出荷数量ベースの車載用ディスプレイ世界市場は、前年比106.8%の1億4868万枚だった。

車載用ディスプレイ市場では、長年の実績を持ち信頼性の高いTFT(薄膜トランジスタ)-LCDが圧倒的な強みを発揮。センターインフォメーションディスプレイ(CID)向けへの標準搭載やTN/STNからTFTへ切り替えが進むCluster(Instrument Cluster)向けで需要が拡大している。

さらに、人間の視野に直接情報を映し出すHUD(Head-up Display)、バックミラーやサイドミラーなどの新規用途向けの主力ディスプレイとしても採用されていることから、車載用ディスプレイ市場の拡大とともにTFT-LCD市場の成長が続く見通しだ。

矢野経済研究所は注目トピックとして、車載用AM-OLED(アクティブマトリクス式有機EL)パネルの搭載動向を挙げた。車載用AM-OLEDは次世代ディスプレイとして期待され、2018年以降AudiがCID向け、サイドミラー向けなどでAM-OLEDパネルを搭載する予定だ。その他に、Mercedes-BenzもAM-OLEDパネルの採用を予定している。

車載用AM-OLEDは高コントラスト性が評価されているものの、現時点では「輝度」「残像」「寿命」などにおいて車載用スペックを完全にはクリアできていない。そのため、最初の採用はRSE(Rear Seat Entertainment)のコントロール画面に留まったとみられる。一方で、Audiは新型車種のCIDやサイドミラー向けにサンプル出荷しているとみられる。今後の採用拡大には、本格採用に向けた改善とAM-OLEDの良さである「高コントラスト」「フレキシブル」などの特徴がどのように評価されるかが重要だとしている。

将来の展望としては、2021年の車載用ディスプレイ世界市場(メーカー出荷数量ベース)は1億9199万枚に成長すると予測。それに対し、TN/STNからのTFT-LCDへの置き換え需要で高成長を遂げたCluster向けの車載ディスプレイは、置き換え需要が一段落するとみられる2023年が近づくにつれ成長率は緩やかになっていくと見込んでいる。

さらに、新規マーケットとして期待されるHUD、バックミラー、サイドミラー向けディスプレイは急成長を遂げているが、高級車種を中心としたオプションでの搭載が主力なことから、車載用ディスプレイ市場を牽引する規模にまで拡大するには時間を要すると分析した。

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