リチウムイオンの数倍高性能――液体電解質を用いたフルオライドイオン電池

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 ホンダ・リサーチ・インスティチュート、アメリカ航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所、カリフォルニア工科大学、ローレンス・バークレー国立研究所は2018年12月6日、室温で日常的に使用可能なフッ化物イオン電池を作製する方法を新たに考案したと発表した。研究成果は『Science』に掲載されている。

 今回の研究の主眼は、フッ化物イオンの室温での移動を容易にする液体電解質を発見したことにある。フッ化物イオン電池はエネルギー密度が高く、現行の電池の約8倍長持ちすることが期待されるため、1970年代にも開発が試みられていた。しかし、当時開発されたフッ化物イオン電池は固体電解質を用いていたため、日常的な使用という点では実用性がなかった。

 電解質が固体だと室温でイオンが移動するのは困難だが、電解質が液体であればイオンは室温で容易に電極間を行き来する。そこで、研究チームはフッ化物二次電池に使用可能な液体電解質を見出すことに挑戦し、最終的にビス(2,2,2–トリフルオロエチル)エーテル(BTFE)と呼ばれる溶媒にたどり着いた。BTFEはフッ化物イオンを持続的に安定させ、室温での往復を可能にする。

 BTFEの試用を最初に発案したのは、研究論文の責任著者であるSimon Jones氏のインターン生だったVictoria Davis氏である。Jones氏はDavis氏のアイデアに当初は期待していなかったが、試してみると想像した以上の成功を収めたという。Jones氏は論文の共同著者であるThomas Miller教授にBTFEの解析を依頼し、その安定性や性能を改善する方法も明らかにした。

 なお、Jones氏は「電池を長寿命化するには、多くの電荷を移動する仕組みが必要だ。複数電荷の陽イオン(リチウムイオン)を動かすのは困難だが、複数電荷の陽イオンを動かすのと同じ結果が、単一電荷の陰イオン(フッ化物イオン)をいくつか動かすことで得られる。使用可能な電圧で動かせられるかが問題だったが、十分に高い電圧で動くことが今回の研究で証明できた」と本研究を総括している。

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