- 2019-1-6
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- Amy Simon, hydroxyl(ヒドロキシル), NASA, オシリス・レックス, ベンヌ, 可視赤外分光計(OVIRS), 熱放射分光計(OTES)
2016年9月8日に打ち上げられたNASAの探査機「オシリス・レックス」は、目的の小惑星「ベンヌ」への接近段階で行った科学観測により、小惑星上に水が存在することを発見した。
オシリス・レックスに搭載された可視赤外分光計(OVIRS)と熱放射分光計(OTES)からのデーターは、ベンヌに酸素と水素の原子結合を含む「hydroxyl(ヒドロキシル)」として知られる分子が存在することを示した。これは、ベンヌを構成する粘土の中に水が閉じこめられていること意味する。
ゴダード宇宙飛行センターでOVIRSを担当するAmy Simon氏は、「小惑星全体にわたる水和鉱物の存在は、太陽系形成の初期の残存物であるベンヌが、原始太陽系における揮発性物質と有機物の組成を研究するというオシリス・レックスのミッションの格好の対象となることを示している」と説明する。
オシリス・レックスは、20億kmの旅を終え、2018年12月3日にベンヌから19kmの位置に到達した。軌道投入は2018年12月31日に行われ、探査機はベンヌの中心から1.4~2kmの軌道を周回する予定だ。
その後、オシリス・レックスは、60~2000gのサンプルを採取し、2021年3月にベンヌを離れ、約2年半後の2023年9月24日に地球に帰還する予定だ。Simon氏は、「サンプルを地球へ持ち帰ることができれば、科学者は、太陽系の進化と経緯に関する新たな資料という宝物を手にすることになる」と語り、ミッション成功への意欲を見せている。
ベンヌは、22世紀末に地球に衝突する可能性が指摘されている小惑星だ。オシリス・レックスによる発見は、その衝撃の緩和に重要な役割を果たすベンヌの物理化学特性を明らかにするだろうと、NASAは期待している。
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