大面積グラフェン膜の欠陥構造を高速、高精度で可視化する技術を開発 産総研と九大

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ロックイン赤外線発熱解析法を用いたグラフェン欠陥構造イメージングの概念図

産業技術総合研究所(産総研)は2019年2月2日、九州大学と共同で、微弱な信号でも高い効率で検出可能なロックイン赤外線発熱解析法を用いて、グラフェン膜の微細な欠陥構造を高速、高精度で可視化する技術を開発したと発表した。

炭素原子のみで構成され、厚さが炭素1個分の2次元シート状のグラフェンは、極めて高い電気特性や熱伝導率、機械的強度などを持つことから、さまざまな分野での応用が期待されている炭素材料だ。近年、化学気相蒸着(CVD)法による大面積化が進んでおり、タッチパネルや太陽電池などへの実用化研究も盛んに行われている。

CVD方による成膜では、破れやシワ、結晶粒界などの欠陥構造が発生し、電気伝導特性が低下することが課題となっていた。また、欠陥構造の評価はこれまで走査型トンネル顕微鏡などで行われてきたが、走査する視野がナノメートルからマイクロメートル程度の非常に狭い範囲に限られていた。

今回開発したシステムでは、周期電圧をグラフェンにかけ、グラフェンから発生する熱輻射を赤外線カメラで撮影して、発熱の分布を空間的にイメージングする。従来のサーモグラフィー手法とは異なり、かけた電圧の周期と同期して連続撮影し、一定間隔で画像を取り込み、計測信号と参照信号との同期検波によって微弱な信号でも高効率で検出可能なロックイン検出に基づく演算処理を行う。これにより、グラフェンを支持する基板上での蓄熱成分が除かれ、かけられた電圧によってグラフェンから生成されるジュール熱成分のみを可視化できる。

また、今回の技術では、ミリメートルサイズのグラフェンを10分程度で計測できることから、大面積試料の評価に有効な方法になると期待されるという。

産総研では、今回の成果をもとに、今後は品質評価を通じてCVDグラフェンの高性能化に貢献するとともに、近年発光デバイスとして注目されている2次元シート「遷移金属ダイカルコゲナイド」などをはじめとするさまざまな材料系への応用に取り組む。

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