光学機器・デバイス市場、2024年には10兆4529億円に拡大――自動車、モバイル分野などで拡大が続く 富士キメラ総研調査

富士キメラ総研は2019年4月23日、3Dセンシングや高解像度化などの進展により、自動車、モバイル、セキュリティ、産業分野において需要が増えている光学機器・デバイスの市場をイメージング・センシングという切り口で調査し、その結果を「2019 イメージング&センシング関連市場総調査」にまとめたと発表した。

イメージング&センシング関連部品・デバイスの世界市場は、2018年は前年比110.7%の7兆1363億円の見込み。2024年には2017年比162.2%の10兆4529億円に達すると予測。特に光学ユニットと半導体デバイスは、年平均成長率7%以上と予想している。

光学ユニットでは、車載カメラモジュール、車載カメラ用レンズユニット、ヘッドライトシステム、HUD、LIDARなどの車載関連が伸びている。また、小型カメラモジュールやモバイルレンズユニットは、スマートフォン搭載カメラの複眼化により需要増加が期待されるという。

半導体デバイスではセンシング用途やスマートフォン搭載カメラの複眼化による需要増加が予想される。特にエリアイメージセンサー、TOFセンサー、赤外光LEDパッケージ、VCSEL、マイクロボロメーターなどで伸びが期待されるという。また、プロジェクターはレーザー光源への移行が進んでおり、可視光半導体レーザー(プロジェクター用)も大幅に拡大すると予測する。

光学部品、光学関連材料・装置も堅調に伸びると予想。光学部品では、光学フィルター、ウエハレベルレンズ、ヘッドライト用光学部品、HUD用光学部品、レーザー加工機用光学部品、光学関連材料・装置ではレンズ用樹脂材料や光学接着剤、射出成形機の市場規模拡大が予測されるという。

同調査では注目市場として車載カメラモジュール、LIDAR、デジタルスチルカメラを取り上げている。車載カメラは、自動車市場の拡大と安全機能の向上目的、自動運転への対応により需要が増えている。車載カメラはビューイングカメラとセンシングカメラに大別されるが、ビューイングカメラはバックモニターのみの搭載からサラウンドビューイングに移行し、搭載数量が増加。センシングカメラもフロントのみから、サイドやリアなど車両1台当たりの搭載個数が増える見込みだ。特に、市街地での自動運転の実装のために広角カメラのニーズが伸びるとみられており、参入メーカーは広角化を目指して、イメージセンサーの高画素化や組み立て精度向上に取り組んでいる。

LIDARはレーザーを空間に照射することによって空間情報をスキャンし、物体の有無などを認識するデバイスだ。水平方向のみをスキャンする2D LIDARと、水平方向に加えて垂直方向も認識する3D LIDARを調査対象とした。現在は市場の大部分を2D LIDARが占めており、ロボット掃除機や交通インフラ、AGV(無人搬送車)向けの需要が中心だ。鉄道分野では線路やホーム上での障害物・落下物検知など、AGVでは自車位置推定、障害物検知などで用いられている。各用途での採用増加に伴って価格低下も進み、市場は堅調に伸びるという。

一方の3D LIDARはFA(ファクトリーオートメーション)や自動車、ドローン測量などで使用される高機能・高単価の製品が中心だ。現在の市場は小さいが、自動車で本格採用が始まる2022年以降は市場規模拡大が見込まれる。

デジタルスチルカメラは、レンズ一体化型のコンパクトタイプとレンズ交換式カメラに大別される。さらにレンズ交換式カメラは光学式ファインダー内蔵のデジタル一眼レフカメラ(DSLR)と非搭載のミラーレス一眼カメラに分類される。デジタルスチルカメラ市場はスマートフォンカメラの高機能化に伴う需要代替により縮小。特にコンパクトタイプの需要減少が大きい。一方スマートフォンカメラとの差別化のため、メーカーはハイエンドモデルを強化しており、金額ベースでは縮小は小幅にとどまっている。

コンパクトタイプやDSLRの市場が縮小する中、ミラーレス一眼カメラはユーザー層の広がりなどにより小幅だが伸びている。オートフォーカス速度を重視する一部のプロ・ハイアマ層にはDSLRへの根強い支持があったが、2018年にDSLRの上位メーカーがミラーレス一眼カメラ市場に参入し、今後はDSLRからミラーレス一眼カメラへの需要流出が進むと予想。以前からミラーレス一眼カメラの需要が高かった日本やアジアだけでなく、DSLRの人気が高い北米や欧州においても、ミラーレス一眼カメラの需要が拡大するという。

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