チタンの強度と水の密度を備えた「金属木材」を開発――「インバース・オパール」構造を実現

「金属木材」のミクロ圧縮(micro-pillar compression)試験用サンプル。イオンビームにより、円筒状にミクロ加工されている。

ペンシルベニア大学を中心とした研究チームが、チタンと同等の強度を持ち、重さはその4分の1以下と軽い、ナノスケールレベルで多孔質のニッケルシートを作成した。自己整列粒子を鋳型として用い、小孔が規則的に配列する多孔質構造「インバース・オパール」を実現したものだ。稠密で強く全体構造を保持する部分と、栄養や水分を輸送する小孔部分から構成される天然木材と同様の構造を持つことから、研究チームはこれを「金属木材」と呼んでいる。研究成果は、2019年1月24日の『Nature Scientific Reports』誌に公開されている。

高性能なゴルフクラブや航空機の翼は、鋼と同強度であるが半分程度に軽いチタンから製造されている。そのようなチタンを含め金属の強度は、製造プロセスで発生してランダムに存在する欠陥によって弱められるため、実強度は理論値よりも低くなるという。だが、欠陥の存在数が劇的に減少するナノスケールサイズの金属では、本来の理想強度に近づけることができる。

金属やセラミック、高分子の粒子を、天然の宝石オパールに見られるような3次元的な周期構造体に組み立てて配列することによって、新しい機能を持つ材料やデバイスを開発する粒子集積化技術が研究されている。研究チームは、このオパール構造のナノスケール集積粒子を鋳型として用い、粒子間の隙間に目的の物質を充填し固化させ、その後元の粒子を除去することで生まれる多孔質材料「インバース・オパール」に注目した。

研究チームの手法は、水中に浮かぶ直径数100nmの微小ポリスチレン球からスタートする。まず水を蒸発させると、ポリスチレン球は結晶状に整然と積層し、周期構造体を形成する。次に、電気メッキ技術を用いて、この構造体の隙間にニッケルを充填する。充填が終了した後、ポリスチレン球を溶剤によって溶解すると、ニッケルの枠組みを基本としたシートが残される。実験では、面積2cm2厚さ15μmのシートを作成した。この材料の約70%は500nmの小孔で構成され、水と同程度の密度だ。一方で枠組み部分のニッケルの寸法は約17nmであり、ナノ硬さ試験やミクロ圧縮試験などによれは8GPaの降伏強度を示す。その結果、シート全体として、通常のチタンの4~5倍の比強度を示すことがわかった。

研究チームの次の目標は、実用的なサイズが作成できる製造プロセスを検討することだ。更に、小孔に他の材料を組み入れる方法も探索している。木材組織が栄養や水分の輸送など生物学的な機能を果たすように、例えば「金属木材」の小孔に電極材料を注入することで、構造の強度要素とバッテリーまたはエネルギー貯蔵というような2つの仕事をさせることができると、研究チームは期待している。

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