複数人が同時にVR体験できる球形ディスプレイ「Crystal」

Credit: Clare Kiernan/UBC

VR空間内では、コンピューターが作り出すキャラクターとしか共に過ごせないため、ユーザーは世界から孤立しているように感じることがあるという。そこで、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学とサスカチュワン大学の研究者達は、より社交的な利用が可能なVR手法を見つけ出した。

両大学の研究チームは、先進的なキャリブレーション技術と、様々な角度から見ても完全で歪みのない3D映像を作り出すレンダリング技法を使って、同時に2人のユーザーが利用できる球形VRディスプレイを開発した。

研究者が「Crystal(クリスタル)」と呼ぶこのVRシステムは、直径60センチの球形ディスプレイだ。中空の球形表示面は特注品だが、イメージの生成と補正を行うための高速プロジェクター4台とカメラ1台、およびタッチセンシングは市販のものを使っている。3Dメガネに取り付けたセンサーがユーザーの動きを捉え、頭を動かしても3D映像が正しく見えるようにリアルタイムに補正する。

主任研究者で、ブリティッシュ・コロンビア大学の電気・計算機工学のSidney Fels教授は、市場に出回っているほとんどの球状VRディスプレイはひとつの視点からしか正しい画像を表示できないが、「Crystalはどんな角度から見ても、正しくかつ精彩な3D映像を見られる」と説明する。

CrystalはマルチプレイヤーVRゲーム、仮想外科手術、VR支援学習などに利用できると考えられているが、当面はTV会議とCADへの応用を中心として、4人用システムの開発に取り組んでいる。

Fels教授は、「Crystalがフラットスクリーンやヘッドホンに取って代わるとは思わないが、自宅や職場で、仕事や遊びにVRを使いながら他の人と会ったり話したりするための良い選択肢になるだろう」と述べている。

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Spherical display brings virtual collaboration closer to reality

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