フォトルミネセンス発光強度の電圧制御に成功 米ラトガース大

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ゲート電極に電圧をかけることによって、青色のレーザー光線によって励起された、ハイブリッドペロブスカイト結晶(赤色の箱)からの発光を制御するトランジスタデバイスの概念図。

ラトガース大学が率いる研究チームが、ハロゲン化鉛系有機無機ハイブリッドペロブスカイトのフォトルミネセンス(発光現象)を、電圧により100倍まで制御する方法を発見した。より効率的な太陽電池や、他の電子デバイスの進化に発展する可能性がある。研究成果は、2019年1月28日に『Materials Today』誌にオンライン公開されている。

電子デバイスに活用されているシリコン半導体は、電導性の金属と非電導性の絶縁体の中間の特性を有し、ゲート電圧の調整によって電気伝導を広範囲に制御することができる。一方で、フォトルミネセンスの光強度の制御はそれほど簡単ではない。ラトガース大学物理天文学科のVitaly Podzorov教授は「これまでは、結晶の温度を変えるか、非常に大きな圧力を加える必要があり、手間と費用がかかる」と語る。

研究チームは、ハロゲン化鉛系有機無機ハイブリッドペロブスカイトを用いて、フォトルミネセンスの強度を自在に制御することにチャレンジした。ハイブリッドペロブスカイトは、太陽電池として2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力教授によって提案され、太陽電池または半導体レーザーなどの次世代光デバイスとして大きな注目を集め、世界中で活発な研究開発競争が行われている。

研究チームは、ペロブスカイト結晶の表面に、ゲート電極としてイオン性ゲルを装着した。外部から青色レーザー光線を照射、励起させてフォトルミネセンスを発生させ、ゲート電極に負荷する電圧によって制御しようと試みた。すると、電圧を印加することでイオン性ゲル中の酸素イオンが、可逆的にペロブスカイト結晶との界面に移動し、ペロブスカイト結晶中における電子と空孔の再結合挙動、すなわちフォトルミネッセンスを制御できることを見出した。ゲート電極に±1.2Vの電圧を加えることで、フォトルミネセンスの強度は最大100倍変化した。これは、発光を制御するトランジスタデバイスといえる。

「初めて、フォトルミネセンスを電圧によって広範囲に可逆的に制御できた」とPodzorov教授。この発見は、画期的な電子ディスプレイや光デバイスなど広範囲に展開できる可能性がある。「研究の次の段階は、様々な種類のペロブスカイト材料について調べることだ。フォトルミネセンスを制御できる、より効率的な材料があるかもしれない」との期待を明らかにしている。

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