気体を安全に高圧化できる高圧反応装置を開発――不活性な気体資源の有効活用に前進 名古屋大学

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高圧反応装置の加圧機構

科学技術振興機構は2019年8月25日、名古屋大学の研究グループが、安全かつ高圧での化学反応が可能な気体の高圧反応装置を開発したと発表した。

一般的に、化学反応は高濃度、高温なほど反応が速くなるために、加熱による反応加速法が用いられる。しかし気体分子の場合、温度が高いほど液体への溶解度が低くなり、低濃度になるという問題があった。一方、気体分子は高圧であるほど溶解度が高まるが、安全性の理由から、ガス状アルカンなどの可燃性ガスの高圧化には制限があった。

今回の開発では、一般的に普及している高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に着目。HPLCは充填剤が詰まった筒に精密に送液できる装置で、高圧の液体に耐える構造を持っている。研究グループは、このHPLCを高圧反応装置へ転用した。

動作原理はシンプルで、下流側に栓をした反応管に気体分子を封入し、上流からHPLCのポンプで送液する。すると、液体がピストンの役割を果たし反応管中の気体を圧縮する。今回の研究では、最高100気圧の高圧条件を作り出すことに成功した。

酵素とその機能を制御する化合物を用いた実証実験では、常温、常圧ではほとんど進行しなかったエタンの水酸化反応が、50気圧下で劇的な反応速度を示した。さらに、プロパン水酸化反応でも同じく50気圧で毎分2200回転以上の驚異的な反応速度を示すことを確認した。

今回の実証実験でも示されたように、安全かつ容易な高圧反応装置による化学変換が可能になったことで、これまで豊富に存在しながらもエネルギーとしての利用以外が難しかったメタンやプロパンなどのガス状アルカンを、気体資源へ本格的に活用する道筋が開けた。また、今回開発した高圧反応装置は、上記以外のさまざまな幅広い反応系にも適用でき、再現性の高い実験や、これまで反応が進行しなかった不活性気体分子の化学変換の実現が期待できるという。

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