ペロブスカイト太陽電池の性能を左右する界面

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Credit: ICIQ

スペインのカタルーニャ化学研究所(Institute of Chemical Research of Catalonia、ICIQ)をはじめとする研究チームは、正孔輸送材料(HTM)の違いによるペロブスカイト太陽電池の性能差について実験から得た知見を発表した。単体の評価だけでは、最終的な製品性能を見積もるのは不十分だという。研究結果は、2019年3月8日付けの『Energy & Environmental Science』に掲載されている。

ペロブスカイト太陽電池は、低コストながら変換効率が高いことから、注目を集めている太陽電池だ。2009年に開発されて以来、その性能は高められており、現在は標準的な太陽放射のもとで22%以上の変換効率を達成している。使用するコンポーネンツのほとんどは最適化され、市販品としての性能安定性に近づいている。しかし、HTMについては、まだ改良の余地があるという。

HTMとして広く利用される材料には、有機系の「spiro-OMeTAD」がある。しかし、劣化しやすく、合成にもコストがかかるため、現在はspiro-OMeTADに代わる材料を探すことに関心が集まっているが、その設計手法はまだ確立していない。

今回研究チームは、spiro-OMeTADと化学的および物理的特性が似た3種類(TAE-1、TAE-3、TAE-4)の材料を、新しいHTMの候補とした。サイクリックボルタンメトリー(CV法)の結果からは、新しい材料の方がspiro-OMeTADを上回る開放電圧(VOC)を持つと期待された。しかし、実際に太陽電池に組み込んだところ、一番VOCが高いのはspiro-OMeTADだという結果となった。

「特性の似た材料であれば似たような性能が得られると思っていたが、予想に反した悪い結果となった。そこで、なぜこうなったのか原因を突き止めることにした」と、著者の1人Montcada氏は語る。

CV法で使用したHTMは溶液だが、実際の太陽電池では薄膜となってほかの材料と接している。研究チームは、HTMが界面での再結合に及ぼす影響を評価するとともに、ペロブスカイト層の上に有機HTMを積層するとエネルギー準位が変化すること、その変化は材料ごとに異なる特性を示し、VOCに大きな影響を与えていることを見出した。

今回の結果は、ほかの有機HTMについても当てはまり、ペロブスカイト太陽電池の変換効率を改善する分子や材料の見つけることの難しさを改めて明らかにしたとしている。

「我々は、分子の研究は使用状態に一致していることが必要だと示した。そうしないと、分子設計はトライアンドエラーの繰り返しになる」と、Montcada氏は締めくくっている。

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