- 2019-5-29
- 技術ニュース, 機械系, 海外ニュース
- 2019 IEEE International Conference on Robotics and Automation, 3Dプリンター, AI, Xinyan Deng, ハチドリ, パデュー大学, ロボット, 学術
米パデュー大学の研究チームは、AIを使ってハチドリのように飛行するロボットを開発した。一般的なドローンより小型なだけでなく、暗い場所や狭い場所でもどのように動けばよいか自分で判断して飛行でき、人命救助などの活躍が期待できる。研究成果は2019年5月20日、カナダのモントリオールで開催された『2019 IEEE International Conference on Robotics and Automation』において発表された。
一般的なドローンの場合、自重を支えるための十分な揚力を生み出す必要があるため、小型化にも限界がある。しかし小型のハチドリは、弾力性のある翼を羽ばたかせながらホバリングや急旋回ができる。
両者の違いは、物理学の違いにあるという。ハチドリの飛行の元になっているのは、非定常空気力学だ。「これにより大きな迎角と揚力が生まれ、小型生物でも飛行できる。つまり羽ばたく翼を持つロボットであれば小型化できるはずだ」と、機械工学科のXinyan Deng准教授は説明する。
研究チームは、ハチドリロボットの体を3Dプリンターで作製し、翼は炭素繊維とレーザーカットした薄膜を使用、翼長17cm、重さ12gのロボットを作製した。2つのモーターを使い、それぞれの翼は互いに独立して動くことができる。得られる揚力は、ロボットの自重を上回る最大27gを記録した。障害物の有無の判断はカメラによる画像解析ではなく、接触した翼に加わる荷重を電流の帰還によって検知するという。
研究チームは、さらにAIを組み合わせ、実際のハチドリの動きを研究してデータし、アルゴリズムに変換。ロボットは、機械学習を重ね、安定したホバリングや高速回避行動など、実際のハチドリに近い動きをすることができるようになった。
実際に、ハチドリロボットが障害物に接触しても失速することなく、方向を変えながら飛行する様子を公開している。
現在は、電源ケーブルにつながった状態で飛んでいるが、バッテリー搭載も容易だという。大きな揚力を持つことで、設計の自由度が増え、カメラやGPSといったセンシング機能を追加することも可能になる。暗い場所や狭い場所での人命救助活動や、特殊任務での活躍が期待される。