優れた磁性と高い強度をもつアモルファス鉄系合金を開発

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優れた磁性と強度を有する、新しい軟磁性アモルファス鉄系合金が開発された。

ロシアの国立科学技術大学(NUST MISIS)を中心として、中国、日本、米国を含む国際研究チームが、これまでよりも優れた軟磁性と機械的性質を有する、アモルファス鉄系合金を開発した。メルトスピニング・プロセスを用い、Fe-B-Si-Cu系アモルファス合金の化学組成を最適化、熱処理によって一部ナノ結晶化することによって、優れた特性を実現した。研究成果は、『Alloys and Compounds』誌の2019年5月15日号に公開されている。

結晶のような規則性を持たず、ガラスのような非晶質状態にあるアモルファス合金は、液体状態の高温金属を、メルトスピニングや双ロール法により超急冷することによって得られる。そして強靱性や耐食性、軟磁性などにおいてユニークな特徴を備えるものが多い。特に軟磁性材料として、高い透磁率とヒステリシス損失の小ささ等から、電源用トランスやノイズフィルター、磁気ヘッドなど、各種電子機器の基幹材料として実用化されている。

研究チームは、メルトスピニング技術を用いて、Fe-B-Si-Cu系アモルファス合金の磁性と強度に及ぼす、化学組成と熱処理の影響について詳細に調査した。NUST MISISのAndrei Bazlov氏は「従来のアモルファス合金において、しばしば使われてきたNbやMoなどの高価な合金元素を避けることに特に留意した」と、述べている。これまでよりB量を低下させるとともに、B/Si比を高くすることで、また、結晶化温度に近い温度での熱処理によって、アモルファスを部分的にナノ結晶化させている。その結果、磁性および機械的性質の両方を向上できることを見出した。

このFe82-85B13-16Si1Cu1合金において、ナノクリスタル化したB13合金では飽和磁束密度1.74T、保磁力5.62A/m、透磁率10100と、非常に高い磁性特性が得られている。さらに、アニールされた合金のアモルファス部分のビッカース硬さは997~1550に達し、極めて高硬度を示す。これらの特性は、現在実用化されているアモルファス合金の性能レベルを大きく上回るものだ。

この画期的な新材料を利用することで、電力や電磁気信号の輸送において生じる電力損失を顕著に低減させ、電力や電子デバイスの分野における効率向上が期待できる。これは、省エネルギー化を促進し、炭酸ガス排出の削減にも寄与するだろう。さらに、この材料の大きな利点として、高価な合金元素を含まないこと、そして比較的シンプルな工業プロセスで製造できるため、製造コストが低いことが挙げられる。

研究チームは、高性能アモルファス軟磁性合金の実用化に向けて、更に新しい化学組成と製造方法の探求および考案を継続するとしている。

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Scientists develop low-cost energy-efficient materials

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