NTTは2018年11月26日、光を透過する「透ける電池」を作製したと発表した。
従来の電池の電極は、金属の集電層上に活物質、導電材、結着剤を混合した合材層を形成しており、そのために全体的に黒く光を透過しなかった。
今回NTTでは、電池を構成する材料と構造に着目。集電層や正極、負極、および電解質に、光の吸収を抑制しやすい材料を電極として用いるとともに、光の吸収と反射を抑制しやすい構造になるように電極を作製した。
作製した電池はサイズ9×5cmで、市販のLEDに接続して5分間の点灯を確認した。また、分光光度計によって透過率を測定したところ、平均約25%の透過率を有することが分かった。この透過率は、向こう側が透けて見える一般的なサングラスの透過性に相当するという。さらに充放電性能を評価したところ、平均電池電圧1.7V、放電容量0.03mAの充放電性能を示した。加えて、充放電を100回繰り返した後でもLED点灯が点灯し、二次電池として動作することも確認した。
今回開発した透ける電池は、従来電池の適用が困難だった領域にも適用できるようになる可能性がある。また、現在研究開発が進んでいる情報表示端末用ディスプレイや、建物の窓枠などの建材分野の太陽光発電素子などの技術を組み合わせることで、IoTデバイスの新たな可能性につながると考えられるという。
透ける電池は、2018年11月29日から30日の間、NTT武蔵野研究開発センターで開催される「NTT R&Dフォーラム2018(秋)」にて展示される。