- 2019-8-21
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- Addition, BODMAS(Brackets, Division, Exponents, Multiplication, Order, PEMDAS(Parentheses, Physical Review, Subtraction - かっこ、べき乗、割り算、掛け算、足し算、引き算), Subtraction - かっこ、指数、掛け算、割り算、足し算、引き算), 数式, 暗黙の乗法(implied multiplication)
「8÷2(2+2)」という単純な数式の計算結果をめぐって、インターネットで論争が起きている。計算の仕方によって答えが「1」となる場合と「16」となる場合があり、どちらが正しいか、というものだ。
結果を「1」と主張する人々の計算は、次のようになる:
8÷2(2+2) = 8÷2(4) = 8÷8 = 1
一方、「16」と主張する人々は次のように計算している:
8÷2(2+2) = 8÷2(4) = 4(4) = 16
ポイントは、「8÷2」の割り算と、「2(4)」の掛け算すなわち暗黙の乗法(implied multiplication)の、どちらを優先するのかということだ。暗黙の乗法を普通の掛け算と捉え、式を「8÷2×4」として計算すれば答えは「16」となり、「2(4)」を一項と捉え、暗黙の乗法が除法に優越するとして計算すれば答えは「1」になる。
一般的には「8÷2×4」として計算し、「16」を答えとするのが自然に思われるが、アカデミックな書籍などでは暗黙の乗法が除法に優越すると解釈する場合が多いといわれており(学術誌「Physical Review」の投稿要領では、暗黙の乗法は”/”で表される除法に優越すると規定されている。)、議論が収束しないようだ。
2019年7月28日の1件のツイートに始まったこの論争では、様々な意見や主張が飛び交っているが、中でも目を引くのは、演算の順序には「PEMDAS」と「BODMAS」のふたつの種類があり、どちらを適用するかで答えが異なる、という意見だ。アメリカでは、演算の順序をPEMDAS(Parentheses, Exponents, Multiplication, Division, Addition, Subtraction – かっこ、指数、掛け算、割り算、足し算、引き算)と覚えさせ、イギリスではBODMAS(Brackets, Order, Division, Multiplication, Addition, Subtraction – かっこ、べき乗、割り算、掛け算、足し算、引き算)と覚えさせる。これに従えば、PEMDASでは答えは「1」となり、BODMASでは「16」になる。すなわち、どこで算数を習ったかによって答えは異なる、というものだ。
既にお気付きかもしれないが、問題はこの数式の曖昧さにある。この式は議論を喚起するために、意図的に暗黙の乗法と”÷”を混在させて書かれている可能性もある。