二酸化炭素を液体燃料に変える研究――植物をヒントに可視光を使った人工光合成

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Graphic courtesy Sungju Yu, Jain Lab at University of Illinois at Urbana-Champaign

イリノイ大学の研究者らは、植物のように水、二酸化炭素、可視光を使って人工光合成を行い、燃料を生産することに成功した。金触媒の助けを借りて二酸化炭素をプロパンのような液体燃料に変換することで、二酸化炭素の排出の抑制と同時に、ピーク時の電力需要にも応えることができるかもしれない。研究成果は、2019年5月1日付の『Nature Communications』に掲載されている。

二酸化炭素を排出しない(カーボンニュートラル)エネルギー戦略として、二酸化炭素固定は非常に重要だと考えられている。ただ、二酸化炭素は比較的安定しているため、反応を活性化するための触媒の研究も進んでいる。例えば、半導体や金属触媒を使った光電解還元は有望だが、紫外線や多量のエネルギーを必要とするうえ、エネルギー密度の高い炭化水素の生成には向いていない。

研究チームは、植物の光合成において色素クロロフィルが吸収する可視光に着目した。色素クロロフィルの代わりに、金ナノ粒子を触媒とし、520nm(緑色)を中心とした強い局在表面プラズモン共鳴を起こすことで、二酸化炭素と水の反応に必要な電子と陽子の効率的な輸送を実現した。

さらに電子の移動を促進するため、この人工光合成はイオン溶液中で行われた。二酸化炭素で飽和したイオン溶液中に金ナノ粒子のフィルムを配置。緑色レーザーで励起させ、二酸化炭素と水から炭化水素を生成した。イオン溶液の濃度が高すぎても低すぎても反応は低下し、実験では5mol%が反応のピークだった。生成物はメタンの割合が多いが、プロパンも生成できることが分かった。

「我々の目標は、余剰な二酸化炭素や太陽光といったサステナブルな資源から、複雑で液化可能な炭化水素を生産することだ」と、論文共著者のPrashant Jain教授は語る。「液体燃料は気体に比べて、輸送が簡単、安全で経済的だ。また、長鎖分子から作られる液体燃料は、より多くのエネルギーを蓄えることができるため、理想的」と述べている。

しかし、研究者らはこの人工光合成の効率が、まだ植物の光合成の足元にも及ばないことを認めている。「化学反応の効率を上げるためには、触媒の調整方法を習得する必要がある。それから、この方法をスケールアップするための方法を決定するという大変な作業を始めることができる。経済的実現性への課題もたくさんあるだろう」とJain教授は、今後の展望を語っている。

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