- 2019-10-23
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- Mod Ⅱ, Mod Ⅲ, Mod Ⅳ, NASA, Tecnam P2006T, X-57 Maxwell, 全電動航空機, 分散型電気推進(distributed electric propulsion) システム
NASAは、全電動航空機による高速巡航効率、ゼロエミッションフライト、静粛性の高い飛行の実証を目的とした実験機「X-57 Maxwell」の開発を進めている。X-57は、主翼の翼端に2基の巡航モーター、前縁に12基の高揚力モーターを備える「分散型電気推進(distributed electric propulsion)」システムの実験機だ。
X-57の開発は、イタリア製の双発プロペラ機「Tecnam P2006T」のエンジンを電気モーターに換装する形で行われる。既存の航空機をベースとするのは、伝統的な内燃機関と電気推進を比較するためだ。
X-57の「Mod Ⅱ」と呼ばれる最初の機体は2019年10月2日に、エドワーズ空軍基地内にあるアームストロング飛行研究センターに納入された。X-57はそこで、NASAのエンジニアによる地上テスト、タキシングテストなどを経て、最終的には飛行試験が行われる予定だ。その後開発は「Mod Ⅲ」、「Mod Ⅳ」と段階的に行われる計画だ。
X-57の最終形であるMod Ⅳは、12基の高揚力モーターを使って離陸し、巡航高度に達すると高揚力モーターを停止して2基の巡航モーターで飛行する。電気推進により温室効果ガスの排出量は、5分の1から10分の1に低減されるばかりでなく、バッテリー駆動なので、再生可能エネルギーによる電力で飛行できるため、環境的、経済的にも優れている。
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