筑波大、プラスチック上にSiGe薄膜の合成に成功――フレキシブルな熱電変換素子の開発に道筋

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筑波大学は2018年10月24日、プラスチック基板上にシリコンゲルマニウム(SiGe)結晶層を直接合成することに成功したと発表した。

IoTが広まり、無線センサーネットワークの重要性が高まっている。その電源として注目が集まっているのが、配線や電池交換をしなくても電力を供給できる熱電変換技術だ。

SiGeは約10%という高い変換効率を誇り、惑星探査機用電源として30年以上使われてきた実績がある。ただし、SiとGeはどちらも難焼結材でありコストがかかる。そこで安価な基板上にSiGeを薄膜合成する研究が進められてきた。

筑波大学の研究チームは、このSiGe膜を軽くて柔らかいプラスチック上で形成できるようになれば、さまざまなところに設置できるフレキシブルな熱電変換素子が開発できると考えた。

しかし、プラスチックは耐熱温度が低く、SiGe膜を直接合成することは困難とされてきた。この課題に対して同研究チームは、層交換法を利用。基板上にアルミニウム(Al)層とSiGe層を順に堆積させてから熱処理することで層の交換を誘起し、耐熱温度400℃のポリイミド基板上にSiGe結晶層を直接合成することに成功した。SiGeの結晶化に必要な温度を200℃以上も低減できたという。

さらに直接合成したSiGe膜の中には、固溶限相当のAl原子が自己組織的にドーピングされることを突き止めた。通常、ドーパントを電気的に活性化するには500℃超で熱処理する必要があるが、今回合成されたSiGe膜は350℃と比較的低温で処理されても、100%に迫る活性化率を示した。これによりSiGe膜の電気伝導度は向上し、熱電変換の性能指標となるパワーファクターは、低温合成膜として最高レベルの約200μW/mK2を記録した。その上、試料を湾曲させてもパワーファクターは低下せず、高いフレキシビリティを実証できたという。

SiGeのパワーファクターとプロセス温度の関係

プラスチック上SiGe膜のパワーファクターと曲げ角度の関係

今回、合成できたSiGe膜の厚みは50nm。Alをドーパントとしているためp型半導体となっているが、熱電変換デバイスで利用するにはn型半導体を形成する必要がある。また、センサ駆動に十分な出力を得るためには数μmの厚みが必須となるため、現在は伝導型の制御と厚膜化に向けた要素技術の構築に取り組むとともに、デバイス試作を進めていると説明している。

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