シールのように貼付できる高品質な有機半導体の超薄膜を開発――印刷法で製膜 東京大学

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東京大学、産業技術総合研究所(産総研)、物質・材料研究機構は2019年12月17日、印刷法によって製膜した厚さ10nmの有機半導体単結晶超薄膜を、シールのように貼付する手法の開発に成功したと発表した。従来は印刷法の適用が困難だった撥水性基板や熱耐久性・溶剤耐性の低い基板など、様々な表面への貼付が可能だという。

東京大学らの研究グループは今回、天然マイカ(雲母)上に有機半導体超薄膜の製膜を行った。天然マイカは原子レベルに平坦で、表面が非常に水に塗れやすい(超親水性)ことで知られている。製膜後、マイカ基板ごと水に浸漬させることで、基板から剥離して水に浮かぶ半導体超薄膜を得ることに成功した。

この水に浮かぶ超薄膜は、超親水性を示す天然マイカ表面と高撥水性を示す有機半導体膜表面との水との親和性の差により天然マイカと有機半導体膜の界面に水が入る、というメカニズムによって起こる。そこで研究グループはこのメカニズムを利用し、超親水性基板に印刷した半導体膜を別基板に貼り付ける手法を開発した。

この手法では、超親水性基板に印刷した半導体膜を別の基板に対して接するように設置。これに水を滴下し、数秒のうちに半導体膜と超親水性基板の界面に水を浸入させる。すると、半導体膜は超親水性基板から剥離すると同時に別基板に貼り付く。これにより、半導体を溶かす溶媒が触れたり熱をかけたりせず、別基板上に有機半導体超薄膜を貼り付けられる。

この手法を用いれば、これまで印刷法に適合しなかったさまざまな材料の表面への有機半導体超薄膜の貼り付けが可能となる。研究グループはこの超薄膜の利用例として、従来では利用が困難だったフッ素樹脂表面上や食品用ラップ上で有機薄膜トランジスタ(OTFT)を作製した。実用化の目安である10cm2/Vsを超える高い移動度を示したことから、貼り付けた超薄膜が単結晶本来の高性能な電気伝導特性を維持していることが確認できたという。

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