タンパク質を導電体として利用する技術を開発――生化学センサーなどへの応用に期待

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アリゾナ州立大学のBiosedign Center for Single Molecule Biophysicsのセンター長であるStuart Lindsay氏らによる研究チームは、タンパク質の1つであるDNAポリメラーゼを使い、高い電気伝導度を持たせることに成功した。ビオチンとストレプトアビジンとして知られる2つの特殊化した結合化学物質によって、DNAポリメラーゼを電極に取り付けるというもので、研究成果は2019年10月15日に『ACS Nano』誌のオンライン版に掲載された。

タンパク質は、長らく完全な絶縁体と見なされていたが、特定の結合剤を使って電極を接合すると、優れた電気伝導性を示すことが分かっている。単一分子を電気検知回路に接続することで、酵素をセンサー、検出器、および配列決定装置として使用できる。

研究チームを率いるLindsay氏はこれまで、一対の電極間に捕捉されたタンパク質の電気伝導度を研究しており、今回の研究はそれをさらに一歩進めるものだ。今回研究チームは、生命にとって最も重要なタンパク質の1つであるDNAポリメラーゼと呼ばれる酵素に注目した。

DNAポリメラーゼは、DNAの長さで連続するヌクレオチドと結合し、ヌクレオチドの相補鎖を1つずつ生成する。この汎用性の高いナノマシンは、細胞の自己複製中にDNAをコピーしたり、DNAに対する破損やその他の損傷を修復したりする、生体システムにおける高解像度なDNAリーダーとして機能するものだ。

そして研究チームは、ビオチンとストレプトアビジンとして知られる2つの特殊化した結合化学物質によって、DNAポリメラーゼを電極に取り付ける技術を開発した。一方の極にこの技術を用いたところ、DNAポリメラーゼが連続してヌクレオチドと結合、放出を繰り返す、小さなコンダクタンススパイクが生成された。両方の電極にストレプトアビジンとビオチンを取り付けると、3~5倍の非常に強いコンダクタンス信号が観察された。DNAポリメラーゼは、酵素上の代替の結合部位によって電極に高感度で接続し、それにより活性部位は分子を結合し、天然のタンパク質機能を発揮する。

酵素の備えるコンダクタンスの実証に成功したことで、最終的にはタンパク質のアレイをコンピューターチップにマウントし、生物学的並列プロセッサーとして機能させるという道が拓かれた。生化学的センサーデバイス、スマート産業の生産、医療診断などにおける多様な応用が期待されるという。

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