UAEに人工知能研究に特化した大学が誕生――授業料は全額支給で学生への支援も充実

近年、人工知能(AI)の重要性から、機械学習エンジニアに対する需要も高まっている。日本国内でもAIや機械学習を学べる大学や学校は存在するが、2020年秋にアラブ首長国連邦(UAE)で世界初となる「AI大学」が開校する。授業料は全額奨学金で給付されるというから、学生には非常に魅力的な大学だ。

アブダビ首長国皇太子の名を冠したムハンマド・ビン・ザーイドAI大学(MBZUAI)は、大学院レベルの学術機関で、AIに特化した研究ベースの専門プログラムを用意している。学生の国籍や年齢は問わず、修士(Master of Science)または博士(Doctor of Philosophy)課程において、コンピュータービジョン、機械学習、自然言語処理のいずれかの分野を学ぶことができる。ただし、2020年に開始するのはコンピュータービジョンと機械学習の2分野のみで、自然言語処理分野は2021年に開始予定のようだ。

英語を母国語としない国の学生は、TOEFL iBTテスト総合スコアが90点以上かつ各セクションのスコアが最低20点以上、もしくは、IELTSアカデミック・モジュールのオーバーオールバンドスコアが6.5かつ各パートのバンドスコア最低6.0以上(いずれも直近2年以内の受験結果であること)の英語レベルが必要だ。

学生への支援が手厚いのも注目すべき点だ。キャンパス内の学生寮に入居できるだけでなく、月々の給付金や健康保険などの福利厚生が整っている。キャンパス内には、研究センターや図書館のほか、ジムや食堂、商店などがあり、施設も充実している。もちろん、授業料全額給付といっても在学中は一定以上の成績を修めなければならないなどの条件はあるが、学生は上手に息抜きをしながら学業に専念し、高いスキルを身に付けることができるというわけだ。

他の大学や産業界とも連携し、現在および将来の社会に有益な活動やプロジェクトに焦点を当てた研究を進める。卒業後も、ヘルスケア、通信、テクノロジー、政府、金融などの分野でのインターンシップを通じて経験を積むことができるとしている。

2030年までに、AIは世界経済に約16兆ドル(約1600兆円)貢献し、UAEでは国内総生産(GDP)の約14%がAIからもたらされるだろうと考えられている。開校にあたり、MBZUAIは「AIの可能性をさらに活用するためUAEから世界に向けてどなたでも歓迎するという招待状」だと位置付けられており、UAEは複数領域をカバーする包括的で統合的なAIビジョンと戦略を定義する初めての国の1つだとしている。MBZUAIは人的資源、学問、科学的思考に投資していくという。

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