空気中の水分だけで発電する「Air-gen」を開発――大腸菌由来の導電性タンパク質を利用した技術

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Photos courtesy: UMass Amherst/Yao and Lovley labs.

マサチューセッツ大学アマースト校の研究チームは、微生物由来のタンパク質を利用して、空気中の水分から発電するデバイス「Air-gen」を開発した。詳細は、2020年2月17日付の『Nature』に掲載されている。電子工学者Jun Yao氏の研究室と微生物学者Derek Lovley氏の研究室の共同成果だ。

Air-genは、ゲオバクター属の細菌が生産する導電性タンパク質ナノワイヤを利用したデバイス。大気中の水蒸気から電気が発生するように、電極をタンパク質ナノワイヤーに接続している。1対の電極の間に挟まれた、厚さ10μm未満のタンパク質ナノワイヤでできたフィルムが大気中の水蒸気を吸着すると、電極間に電流が発生する仕組みだ。他のクリーンエネルギーとは異なり、日光や風も必要とせず、屋内で24時間365日発電できるという利点がある。無公害で、再生可能で、低コストだ。

今回開発したプロトタイプのAir-genは、小型電子機器に電力を供給できることを確認している。研究チームは、次のステップとして、ヘルスモニターやフィットネスモニター、スマートウォッチなどウェアラブルデバイスに応用できる小型「パッチ」の開発も検討中だ。また、充電の必要がない携帯電話のためのAir-genも開発したいと考えている。

最近、Lovley氏の研究室では、迅速かつ安価にタンパク質ナノワイヤを大量生産するために、新規の大腸菌株を開発した。このスケールアップの成功により、今後の開発に十分なタンパク質ナノワイヤを供給できるとしている。

Air-gen開発は異例の学際的なコラボレーションの成果だと研究チームは言う。Lovley氏は30年以上前にゲオバクター属の微生物を発見し、後に導電性タンパク質ナノワイヤを生産する能力を明らかにしている。これまでもシリコンナノワイヤを使用した電子デバイスを設計してきた。また、Yao氏の研究室の学生は、特定の方法でナノワイヤーと電極が接触したときに起電力が生じることを発見した。

研究チームの最終目標は、大規模システムの構築だという。導電性タンパク質ナノワイヤをペンキに組み込んで発電する家を作ったり、風車や太陽光パネルなしで送電網から電気を供給する発電機を設置したりする方法が考えられる。「産業規模にまで到達できたら、持続可能なエネルギー生産に大きく貢献できる大規模システムを作ることができるだろう」とYao氏は期待を述べている。

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New Green Technology from UMass Amherst Generates Electricity ‘Out of Thin Air’

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